2006-01-01から1年間の記事一覧

ミシェル・フーコー「性の歴史II 快楽の活用」

性の歴史三部作の第二作目。 「性の歴史I 知への意志」では権力の話に主眼が置かれていたが、今回は古代ギリシャ・ローマにおける恋愛・性愛がテーマ。まさに性の歴史と呼ぶにふさわしい内容となっている。これまでのフーコーのお仕事である「知の考古学」に…

新日曜美術館「石田徹也」

先週の予告から気になっていた石田徹也。たくさんの作品を並べてみると、たしかに面白い。 画風というか雰囲気的にはノイエ・ザハリヒカイト風だし、アイデアとしては駕籠真太郎に近いといえるかもしれない。魂を解放することを許されず、工場化されてゆく人…

ロバート・J・ソウヤー「イリーガル・エイリアン」

フーコーを連続して読むというのもつらいので、エンターテイメント性に溢れる本を挟むことにした。 というわけでソウヤー。ヤバイ超面白いよコレ。面倒なので粗筋は裏表紙から引用。 人類は初めてエイリアンと遭遇した。四光年あまり彼方のアルファケンタウ…

ミシェル・フーコー「性の歴史I 知への意志」

性の歴史三部作の第一作。久しぶりにフーコー読んだら、結構難しかった。まずヴィクトリア朝においては性は抑圧されていたと言われてきたが、じつはそうではなくて分類学的に系統化されていったのだという分析から始まる。それは近代における性の楽しみ方の…

ポール・アルテ「赤髯王の呪い」

ポール・アルテ幻のデビュー作「赤髯王の呪い」に短編3本を含む4編を収録。「赤髯王の呪い」はその盛り上げ方が尋常ではない。とにかく不可能殺人事件の連打連打。 逆にこれだけ盛り上がっちゃうと大規模なトリックを期待してしまうわけなんだけど、前振り…

巽孝之他「人造美女は可能か?」

慶応大学で行われた「人造美女は可能か?」というシンポジウムの内容をまとめたもの。「可能」は叶姉妹にひっかけているらしい。 執筆陣といい、表紙の恋月姫といい、ピンとアンテナが立った人は必読という内容になっている。 新島進編 ホフマンからゴスロリ…

サミュエル・R・ディレイニー他「ベータ2のバラッド」

若島正によるニューウェーブSFアンソロジー。 相変わらず、飛ばしたラインナップ。 サミュエル・R・ディレイニー「ベータ2のバラッド」 最初に提示されるベータ2のバラッドは不可解だが、ストーリーが進むにつれて徐々にその意味が理解されてくる、という…

ジェフ・ホーキンス「考える脳 考えるコンピューター」

著者はPalmの産みの親であり、数々の新技術を送り出してきた優秀なIT技術者である。 大学卒業後に脳の研究に目覚めたものの、それをやらせてもらえる機関に所属できなかった。そこでIT業界に身を投じ、そこで稼いだお金で私設研究所を作ってしまったとい…

「人造美女は可能か?」「赤髯王の呪い」「イリーガル・エイリアン」

またもやキャンペーンギフト券を消費するために、書籍を買い込む。 なにげに豪華メンバー、荻野アンナのメイド姿が拝めます人造美女は可能か?posted with amazlet on 06.09.02巽孝之 荻野アンナ 慶應義塾大学出版会 (2006/08)Amazon.co.jp で詳細を見るポー…

マーク・ジェイコブスン「ゴジロ」

主人公は放射能島で生まれた体長150mの怪獣ゴジロ。そして原爆投下時の広島に生まれて、長らく昏睡状態だった少年ユキオ・コモドと親密な友情を交わしながらドタバタ劇を繰り広げてゆく。 心温まるゴジラパロディものかと思いきや、バリバリのアメリカポスト…

「20世紀写真史」「からだの見方」「だれもがポオを愛していた」

ブックオフで「20世紀写真史」を買おうと思ったところ、3冊で500円セールを実施中。悩んだあげくに「からだの見方」「だれもがポオを愛していた」を買いました。 写真にあまり詳しくないので、お勉強でもと20世紀写真史posted with amazlet on 06.08.30伊藤…

ジョン・R・サール「マインド―心の哲学」

サール入門として読んでみたんだけど、これは面白い。 心の哲学、心脳問題の有力な説が網羅されており、その詳細と欠点も丹念に記されている。その上で、サール自身が提唱する生物学的自然主義が語られるので、非常に説得力がある。個人的には、サールの言う…

冥王星除外にクトゥルフ業界から怒りの声!

冥王星が惑星から除外されたとのことで、当然のようにクトゥルフ業界の重鎮も大激怒。 「闇に囁くもの」などを手掛ける小説家のH・P・ラヴクラフト氏は、ウィアード・テイルズ紙上で「ユゴス(冥王星)には地球制服をもくろむミ=ゴの前線基地があると固く…

「考える脳」「ベータ2のバラッド」

Amazonやらbk1やらからキャンペーンの少額ギフト券が送られてくる。 戦略に乗せられて、ついつい買っちゃう自分が憎い。 前々から欲しいと思っていた本考える脳 考えるコンピューターposted with amazlet on 06.08.25ジェフ・ホーキンス サンドラ・ブレイク…

「最後にして最初の人類」「生者と死者」「プリズナー」「幼年期の終わり」

ブックオフにて掘り出し物を買いあさる。 絶版でも100円だ!さすがはブックオフ。 欲しかったので最後にして最初の人類posted with amazlet on 06.08.23オラフ ステープルドン Olaf Stapledon 浜口稔 国書刊行会 (2004/02)売り上げランキング: 119,313Amazon…

「メドゥサ、鏡をごらん」「カルチュラル・スタディーズ入門」「シルヴィウス・サークル」

帰省してました。というわけで読んだ3冊。 「メドゥサ、鏡をごらん」がことのほか面白い。 読みにくいフォントだな、とか、どうしてメドゥーサじゃなくてメドゥサなんだろう、とか。そんな瑣末な疑問までもが氷解するだなんて、驚き。ふたつほど、つっこん…

ドナルド・D・ホフマン「視覚の文法」

原題は「Visual Intelligence」、見ることの能力を問題にした本である。 普通に考えると、視覚は文字通り「見たまんま」を捉える能力だと思うだろう。健常な視覚を持つ人で、見ることのトレーニングをしてたり、見ることで苦労している人はいないはずだ。 し…

夏バテ

夏バテでくたばってます。 もうだめ。

澁澤龍彦「黄金時代」

荒俣宏と高山宏の対談でも、澁澤龍彦といえばこの本だよね的な一冊として話題に上っていた本。小粒ながらも目配りの利いた、澁澤龍彦らしいエッセイが揃っている。 また、三島由紀夫への言及を交えながら、普段ならほとんどしないであろう現代批評なんかも(…

吉屋信子「黒薔薇」

「くろしょうび」とお読みください。女学校に赴任してきた主人公(女)は、慕っていた女性に裏切られるという過去を持っていた。それなのにもかかわらず、赴任先の学校で美少女に惹かれてしまう。 先生と生徒といっても22歳と19歳、ほとんど同年代であるのだ…

Ali Project「亡國覚醒カタルシスTOUR」

後ろの方だったんで、結局、渡辺剛を見てました。何かを悟ってるな自分。 愛撫するかのような弓さばきにもうメロメロ。 ちなみに新曲はどれも転調しまくりで、たまらない感じでした。早くアルバムでないかな。

細田守「時をかける少女」

正直、ちょっと泣いた。 いつも奇書なエントリーをしまくっているひねくれものでも楽しめる、素晴らしい映画。手放しで賞賛している人々の声は嘘ではなかった。 というより、これを無理矢理でもけなすならば、とても良心が痛むだろう。そういう、すがすがし…

プライスコレクション「若冲と江戸絵画」

伊藤若冲、長沢蘆雪、酒井抱一あたりが見所。 正直、鳥獣花木図屏風に圧倒されて、他の作品を存分に味わいきれなかった。もう一回行こうかな。 伊藤若冲 鶴図屏風 シンプルかつエレガント。このような単純な絵なのにもかかわらず、長時間見ていても全然飽き…

岡田温司「マグダラのマリア―エロスとアガペーの聖女」

岡田温司というと脊髄反射でありな書房の高価な本が思い浮かんでしまう。その岡田温司の本が千円以下で手に入るなんて、なんと素晴らしいことかと思い、発売直後からチェックしていた。そうするうちに、あれよあれよという間にダヴィンチ・コードがらみで大…

TVの中はすべて幻想

昨日今日のTVを見ていて、ある作品を思い出した。 それはボルヘスとカサーレスの師弟コンビによる「ブストス=ドメックのクロニクル」。その中の「存在は知覚」という作品である。舞台は、書かれた当時(1960年代)のブエノスアイレス。主人公はとあるサッ…

ロブ=グリエ「幻影都市のトポロジー」

ヌーヴォーロマンの旗手、ロブ=グリエの第7作。 いかにもロブ=グリエという感じで、何に似ているかといわれると、ロブ=グリエの「迷路のなかで」に似てるとしか言いようがない。章のそれぞれが断片的な内容で構成されており、その文章のイメージというか…

マイケル・S. ガザニガ「脳のなかの倫理」

本書は二つの問題をテーマにしている。ひとつは脳科学の発展によってもたらされる新技術の評価である。 スマートドラッグによる脳の強化、着床前診断など遺伝子による命の選別、人はいつから人なのか……という問題だ。これらの技術の発展はすさまじく、すでに…

イーヴリン・ウォー「大転落」

ウザキャラ大集合のイギリス社会を風刺したユーモア小説。 原題は「Decline and Fall」、ギボンの「ローマ帝国衰亡史」をもじっている。 今月に再版されたので手に取ってみた。放校処分にあった主人公、なぜだか遺産ももらえないことになってしまい、しかた…

キェルケゴール「死に至る病」

有名ですね、主にエヴァとかで。 かなり前に買って、ある程度主旨を押さえたところで読むのをやめていたので、今回は最初から改めて読んだ。 「死に至る病」とは絶望のことである、というわけで絶望論。 簡単に主旨をまとめると、キリスト教的には死んでも行…

バーバラ・スタフォード「ヴィジュアル・アナロジー」

「ヴィジュアル・アナロジー」を購入。 パラパラめくった感じでは、もの凄く面白そう。 スタフォードは「ボディ・クリティシズム」が訳されたら読もうと思っていたんだけど、そろそろあきらめて読み始めようかと思います。ちなみに(おそらく高山宏が考えた…