マーク・ジェイコブスン「ゴジロ」

主人公は放射能島で生まれた体長150mの怪獣ゴジロ。そして原爆投下時の広島に生まれて、長らく昏睡状態だった少年ユキオ・コモドと親密な友情を交わしながらドタバタ劇を繰り広げてゆく。
心温まるゴジラパロディものかと思いきや、バリバリのアメリポストモダン小説。

そんなある日、ゴジロのところにハリウッドから映画のオファーが来てアメリカに向かうことになる。飛行機乗れないじゃん、と思いきやコモド少年は天才発明家なので身長縮小剤でちっちゃくして連れて行くわけ。
そこから巻き起こるハチャメチャなドタバタ劇。ゴジロがアメリカ文化に詳しくて、台詞がいちいちマニアック。SF的描写も盛りだくさんだ。
とにかくネタ満載でアメリカ文化に詳しい人ほど笑えるだろうし、感動もできるだろう。またアメリカの状況をシニカルに批判しているところも巧い。

また本書は「ニューロマンサー」で有名な黒丸尚の遺作でもある。あとがきの共訳者である白石朗の追悼文も泣ける。

余談

パッと見、「ゴジラ」よりは「ジゴロ」を連想しちゃう。

余談2

怪獣モノというだけあって、白鯨ネタが多い。一番ウケタのは「コモドが例の縮小注射針という銛でゴジロをクィークェグして……」というフレーズ。「ググる」みたいなもんですか。