2007-01-01から1年間の記事一覧

グレゴリー・チャイティン「メタマス!」

これはすごい! 個人的には「ゲーデル・エッシャー・バッハ」や「皇帝の新しい心」に匹敵するくらいの本だと思っている。ライプニッツ礼讃ということでひいき目に見ているところはあるにしても、本書で言及されていることは、最高にセンス・オブ・ワンダーだ…

円城塔「Self-Reference ENGINE」

1月に新刊が出ると言うことで、ようやく読んだ。 いやあボルヘスですね。最高にボルヘスです。特に「A to Z Theory」あたりは特にそんな感じ。もうたまらない。高等な思弁小説をやってのけたかと思いきや、次には落語とハードSFを組み合わせてみせる。そん…

山田風太郎「誰にもできる殺人」

山田風太郎の傑作ミステリ。どうもミステリのあらすじをまとめるのが苦手なので、Amazonから引用する。 アパート「人間荘」16号室の押入れから一冊のノートが発見された。そこには、その部屋に住んだ代々の住人が書きついだ人間観察、人間荘で起きた6件の犯…

Span Art Gallary「アリス幻想」

東逸子、谷川晃一、上田風子、土井典、宇野亜喜良、トレヴァー・ブラウン、大友ヨーコ、勝本みつる、中村宏、金子國義、鳩山郁子、北見隆、ヒロタサトミ、桑原弘明 丸尾末広 酒井駒子、森口裕二、沢渡朔、山本タカト、千之ナイフ、吉田光彦、高橋竜男、四谷…

parabolica bis「夜想 ヴァンパイア展 パート1」

丸尾末広を中心に、山本タカト、小島文美、恋月姫、野波浩、三浦悦子というおなじみメンバーによる、ヴァンパイアをテーマにした展示会。丸尾末広の絵は有名な作品のオマージュになっているので、その元ネタを探しながら見ながら楽しんだ。こういうの、わか…

乙一「The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day」

ジョジョが大好きな乙一による、第四部の渾身のノベライズ。 この値段で、この造本。そして飛び出す挿絵。もう読まなくてもいいから買っておけというくらいのできである。ジョジョ特集のユリイカを読んだときも思ったのだけど、とかくジョジョについて語るの…

ブルーノ・ムナーリ「ファンタジア」

デザイナーであり作家でもある、多彩な才能をもったムナーリの想像力と創造力に関する小冊。ヴィジュアルが多いため、文章が少ないながらも、そこで語られる領域は大きな拡がりを持っている。想像力の秘密をアルス・コンビナトリアで語るという感じで、ヴィ…

スチュアート・スィージィー「デス・パフォーマンス」

hugo_sbさんの紹介で知った本。自らの身体を使った性倒錯をテーマにした本である。 原題はAmok Journal。Amokという言葉が実にきな臭い。1章は自慰死。窒息など生命を危険に晒す行為にに性的な興奮を覚える人間が、ついには死に至ってしまった例をとりあげ…

澁澤龍彦「世紀末画廊」

マニアックな幻想画家を一同に集めた澁澤龍彦ならではの美術論。 もちろん鉄板である幻想絵画の大御所もいるけれども、初めて聞くような名前も数多い。澁澤流の、縦横な知識を駆使していながらも何にも縛られていない自由な批評は、読んでいて心地よい。古今…

「第三回 monado nite」

去る11/23に「第三回 monado nite 幻想と驚異」を開催しました。例によって6時間という長丁場にもかかわらず聞いてくださったみなさま、本当にご苦労さまでした。 途中から完全に6時間でスケジューリングしている自分に気づいて驚愕!だったりしたんですが…

「第三回 monado nite」の告知

11/23(金)に「第三回 monado nite」をustream上で行います。 夜の9:00から開始する予定です。http://ustream.tv/channel/monado告知画像はVoQnに描いてもらいました。 軽い気持ちでお願いしたら、こんな素晴らしいイラストに仕上がって、こっちがビビって…

「文学のプログラム」

id:antipop一押しの評論ということで、購入。著者本人もカッコイイ。 しかし日本文学に詳しくない自分に読めるのかしらん、やや不安である。 文学のプログラムposted with amazlet on 07.11.20山城むつみ 太田出版 (1995/03)売り上げランキング: 125419Amazo…

twitter神保町オフ

cheebowさんの提案による、twitterの本好きを集めて神保町めぐりをするという素敵なオフに参加してきました。 まあ自分が出席した理由は、主に「twitter人文科学部部長代理としてビビらせてやんよ!」というケジメです。 集合→グループで古本屋巡り→喫茶店で…

「ユリイカ 2007年11月臨時増刊号」「巨人ゴーレム」

ユリイカは届いたばかりでまだきちんと読んではいない。とりあえず対談をパラパラめくってみたところ、金田淳子自重しろ!と思ったのでAmazonレビューを見てみたら、やはりみな同じこと思ってたんですね。 1500円までの埋め草としては、前々から買おうと思っ…

「小説のストラテジー」

id:hazy-moonに勧められて購入。 目次とかを見ると、とても面白そうなんだけど、今読んでしまうと次回monado niteに影響を与えすぎてしまうような気がする。なのでちょっとだけ我慢。 小説のストラテジーposted with amazlet on 07.11.14佐藤 亜紀 青土社 (2…

J・A・シーザー「万有引力 vol.1 1994-2007」

ついに万有引力での劇中合唱曲がCD化された。今回購入できたのは「螺旋階段」を見た人だけだったんだけど、ホントこれはすごい! 2枚組で61曲というヴォリュームもさることながら、そのどれもが感涙もの。劇場では聞き取れないような作り込みもしっかりして…

演劇実験室◎万有引力「螺旋階段」

◎夢のコンタジオン劇◎ 螺旋階段構成・演出・音楽:J・A・シーザー テキスト:寺山修司+アントナン・アルトー コンタジオンということで、感染、伝染がテーマ。 でも、基本的には疫病流行記の焼き直しという感じで、感染という部分を強調した所はあったが…

マリアの心臓「天野可淡展」、ヴァニラ画廊「埜亞×メリユ×森馨『残酷な姫君の宴』」

渋谷でマリアの心臓、その後に銀座でヴァニラ画廊で、二つの人形展を鑑賞した。今回、多くの人形を見てわかったことは、その瞳の多くが焦点がないことだ。つまり視線が平行になっているので、その視線は交わることなく無限遠方を見つめているのだ。 その設計…

ルネ・ドマール「類推の山」

至高点を目指して究極の山の頂上を目指す。それはエベレストでもチョモランマでもない、いまだ誰も知らぬ未開の地にそびえる概念の「類推の山」だ。そしてそれは、 自然によってつくられたありのままの人間にとって、その峰は近づきがたく、だがその麓は近づ…

フリードリヒ・キットラー「グラモフォン・フィルム・タイプライター」

本書は、グラモフォン(蓄音機)、フィルム(映画)、タイプライターというテクノロジーが、いかにメディアに影響を与えるか、広く言えば人間の精神活動に影響を与えるかを、ラカンの理論等を用いながら具体的に例証してゆく本である。たとえば手書きの文章…

菊地芳枝「twitterコミュニケーション・バイブル」

最近ブログの更新が滞り気味なのは、twitterという鬼畜なwebサービスにはまっているからなのです。 twitterには本当に鬼畜な人々が集まっていて、毎日毎日鬼畜なお祭り的コミュニケーションがなされており、とても殺伐としています。そんな鬼畜な状況なのに…

大橋洋一編「現代批評理論のすべて」

現代批評理論のエッセンスが詰め込まれたハンドブック。 テーマ編、人物編、用語編に分かれていて、それぞれが数ページ程度に凝縮されているので、それなりに知った人にとっては復習に持ってこい。またポケットリファレンスとしても便利な一冊だ。逆に言うと…

マーシャル・マクルーハン「グーテンベルクの銀河系」

「声の文化と文字の文化」を座右の書にあげておきながら、マクルーハンの聖典を押さえていないのはどうかと思い、一念発起してこの大冊に挑んだ。 一言、タイトルにいつわりなし、まさに歯車的メディア論の小宇宙! 要するに、グーテンベルクによる活版印刷…

「超文学Tの肖像」

万人にあたえる書、何人にもあたえぬ書 ――ニーチェ「ツァラトゥストラはかく語りき」 思うに、その書物は生まれるべくして生まれたのだろう。超文学的な構想によって企てられた恐るべき書物は全人類に対しての挑戦として投げかけられた。その書物に言及する…

ウィリアム・パウンドストーン「ライフゲイムの宇宙」

池上高志「動きが生命をつくる」 - モナドの方へでライフゲームが大きく扱われていたので、基礎的なところを一度おさえておこうと本書を手に取った。単にライフゲームを取り扱った本ではなく、熱力学モデルを詳細に論じながら、その関係をさぐってゆくという…

「デス・パフォーマンス」

ustream上でhugo_sbさんがオススメしてたので、早速購入。 衝撃的で理解不能な性行動にこそ、ファンタジーと快楽(死)追求という人間本質が隠されている。本書は医学誌、FBI資料などから、自慰死、自己頭蓋貫通、自己去勢、四肢切断愛好、緊縛、獣憑きな…

「第二回 monado nite 後半」

0:30〜3:00位までの流れです。 荒俣宏「理科系の文学誌」 理科系としてのロマン派論など、恐らく荒俣宏の著作の中でも最も重要で完成度の高い一冊。 荒俣宏「別世界通信」 これは前回に探し出せなかった本。 読書案内としては最適です。 荒俣宏「想像力博物…

「第二回 monado nite 前半」

21:00〜0:30位までの流れです。 ウォルター・J・オング「声の文化と文字の文化」 まず今回のテーマとなるのが音声文化から文字文化への変遷。非常に衝撃を受けたバイブル的な一冊。 「マクルーハン理論」 で、メディア論といえば、言わずと知れたマクルーハ…

「第二回 monado nite」

予告通り10/13の夜9時からustream放送を行いました。 「Media-Memoria 遊撃のリテラチュール」ということで、記憶とメディアにおける文学の関係なんかを論じようと思ってたんですが、例によってアドリブでどんどん脱線。 結局9時から始まって3時まで、なんと…

池上高志「動きが生命をつくる」

池上高志を知ったのは茂木健一郎による芸大授業のmp3だった。複雑系の専門家でありながらアートにも造形が深くて、ただの学者ではない、一筋縄ではいかない印象を持っていた。 主著があったら読みたいなと思っていたんだけれども、ついに単著が出たというこ…