2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧
54の断章からなるミステリ。 読み終わってから振り返ってみると、かなり複雑な構成であることに驚かされる。さらに真相は三段構えくらいになっている。と、ここまで書いてしまうと難物かと思われるかもしれないが、それほど読むのに苦労する小説ではない。 …
写真に詳しくなかったので、手に取った本。 この本に載っていた写真で知ってたのはウィトキンとメイプルソープくらいだったので、大いに勉強になった。写真が誕生した19世紀では、まだ写真が一般的なものではなかった。20世紀になって、写真は芸術としてメデ…
プログレ博士こと植松伸夫も一押しというポチャカイテ・マルコ。ブルガリア語で「ちょっと待って下さい」という意味だそうだ。なんとも言えない。 音楽も方もなんとも言えない。民族音楽風でありながら、マグマ的な暗黒の情緒を漂わせ、そこにシンフォニック…
イントロの音がやや明るいのが気になるが、個人的にはこれまでの楽曲の中で一番好みである。 よくわからないところで、よくわらからない転調をしているところが最高にたまらない。プログレ好きの性である。特に異常にひねくれた間奏は、もうこれだけでご飯三…
やはりソウヤーはハズレが少ない。本書も大いに面白かった、何より題名がいい。 ある実験の失敗?により人類すべての人間が20年後の未来を数分垣間見てしまった、あるものは望まない未来を、あるものは自分が殺されることを知ってしまう。この状況で人類は…
朝日カルチャーセンターで行われた記号論の講義録を元に作られた「説き語り」の本。講師陣も多彩で、内容に拡がりがあるところが特徴だ。口語体で書かれているので、いわゆるガチガチの記号論の本に比べるとはるかにわかりやすいんだけど、用語の説明などが…
ソウヤーのデビュー作となるSFミステリ。 前回のフレームシフトはちょっといまいちだったけど、今回はSFとしてみてもミステリとしてみても傑作だった。まず巨大宇宙船のなかで一人の女性科学者が殺される、という描写が犯人の視点から描かれるという倒述…
ミステリマガジンに連載されていた読書にまつわるエッセイ&書評。 主に未訳(連載当時)のものを扱っていて、かなりマニアックなモノも多い。3ページに1冊以上というペースで本が紹介されるというかなりヘビィな内容なので、読んでいるとクラクラしてくる…
若島正の「殺しの時間」が3ページで小説を一本紹介するというヘビィな内容のため、続けて読むのがしんどかったので、マリみてに待避。今回面白いのは、あとがきにある「キャラが勝手に動く」というところ。 小説を設計する段階では、通常ストーリが主でキャ…
1つのストーリーを99通りの方法で描き出すという、レーモン・クノーの「文体練習」に激しくインスパイアされた作品。コミックへの翻訳といっても過言ではないだろう。実はあまり期待せずに読んだのだが、思っていた以上には面白かった。クノーへの敬愛と…
遺伝子をメインテーマに据えたSFミステリ。 我孫子武丸があとがきを書いているだけに、否応なくミステリとしての展開を期待してしまう。遺伝病を抱える主人公がネオナチの暴漢に襲われて、というワクワクさせられる出だし。しかし最終的なオチは、今ひとつ…
前半は解剖学的な見地から五感や心についての考察、後半は学者然としたおかしみのあるエッセイからなる。 養老孟司はやはり独特の考えの持ち主で、従来の学説を踏まえつつも一見へんてこりんなオリジナルの説を等々と語って見せたりする。個人的には文字の形…
ちょっと更新を怠けてしまっていた。本書は一週間前に読了していたもの。 本書は「知への意志」「快楽の活用」に続く性の歴史三部作の最後にして、フーコー最後の書でもある。序盤は前作の続きという感じで割と分かりやすいのだが、後半にかけていかにもフー…
いわゆる京極堂シリーズの第八作目。長年待たされた前作がアレだったんで、今回も大丈夫なのかなあと思うっている読者も多いことだろう。セカイ系っぽい出だしに一抹の不安を覚えながら読み始めたところ、前半のあまりの普通さに参ってしまった。 妖怪が現れ…