ポール・アルテ「赤髯王の呪い」

ポール・アルテ幻のデビュー作「赤髯王の呪い」に短編3本を含む4編を収録。

「赤髯王の呪い」はその盛り上げ方が尋常ではない。とにかく不可能殺人事件の連打連打。
逆にこれだけ盛り上がっちゃうと大規模なトリックを期待してしまうわけなんだけど、前振りに比べるとオチが弱い。そこはあまり期待しすぎないで読むとちょうどいいだろう。

短編の中では「コニャック殺人事件」が一番端正にまとまっている。あとがきで某記号論学者の某小説に触れているのは、なるほどねという感じ。
むしろ短編のスペックが非常に高いのに驚かされた。このページ数でよくぞこれだけしっかり書けるものだ。こういうのを見せられるとミステリ作家としての実力が確かなものであることがわかる。
早く殊能先生イチオシの「狂人の部屋」を読みたいものだ。

余談

「ミステリ小説ならいざしらず」的な発言が何ヶ所かでてくるんだけど、こんなに大量の不可能殺人が出てくるなんて、ミステリ小説以外のなにものでもないよ。