サミュエル・R・ディレイニー他「ベータ2のバラッド」
若島正によるニューウェーブSFアンソロジー。
相変わらず、飛ばしたラインナップ。
サミュエル・R・ディレイニー「ベータ2のバラッド」
最初に提示されるベータ2のバラッドは不可解だが、ストーリーが進むにつれて徐々にその意味が理解されてくる、というミステリ的な展開も面白い。「バベル17」に繋がる言語学的な論議に注意して読むとよいだろう。
それにしてもディレイニーの中では、このレベルで一番分かりやすいというのだからなあ。
バリントン・J・ベイリー「四色問題」
今や四色定理となってしまった二次元平面の塗り分け問題をヒントにした奇想スペースオペラ。専門用語が飛び交うので、四色問題をまったく知らない人が読むのは少々つらいかも。
そういう人は、ロビン・ウィルソン「四色問題」を読んでおくとよい。
キース・ロバーツ「降誕祭前夜」
キース・ロバーツに慣れてないからかも知れないが、ある意味、一番難解な作品。というか、これってSFなの?
H・G・ウェルズ「時の探検家たち」
ひとつだけ19世紀の小説が混じると、こうも違和感があるものなのか。異様にまわりくどく感じてしまうのだから不思議だ。でも慣れてくれば普通に読める。
名作タイムマシーンに繋がるための礎となった作品のようだが、オチはいまいち。