イーヴリン・ウォー「大転落」

ウザキャラ大集合のイギリス社会を風刺したユーモア小説。
原題は「Decline and Fall」、ギボンの「ローマ帝国衰亡史」をもじっている。
今月に再版されたので手に取ってみた。

放校処分にあった主人公、なぜだか遺産ももらえないことになってしまい、しかたなく教職の道に進む。そこで赴任した学校がとんでもないところだった!というドタバタコメディ。抱腹絶倒というよりは、アイロニーの効いたブラックなジョークにニヤリという感じだろう。

主人公を含め、とにかくキャラが立っているの。しかもみな素敵なくらいウザイ。
特にジレーヌス教授のキャラ造形が強烈で、こんな口調である。

「へえェ! きみにピッタリと思ってたのにィ。何が合うのか、他人のことになるとォ、分からないなァ」

ずっとこんな調子、ハッキリ言ってウザイ。そのウザさがクセになる。
というか岩波文庫でこんな口調のキャラと出会えるとは思わなかった。原文どうなってるんだ?

こんな感じで全般的に軽い文体で訳されているので、とても読みやすい。イギリス文化に知識がある人なら、きっとかなり笑えるはずだ。