プライスコレクション「若冲と江戸絵画」

伊藤若冲、長沢蘆雪、酒井抱一あたりが見所。
正直、鳥獣花木図屏風に圧倒されて、他の作品を存分に味わいきれなかった。もう一回行こうかな。

伊藤若冲 鶴図屏風

シンプルかつエレガント。このような単純な絵なのにもかかわらず、長時間見ていても全然飽きない。その秘密は、鶴の輪郭を描く筆さばきにあるように思える。

伊藤若冲 鳥獣花木図屏風

今回の目玉。升目描きの境界部分の処理が面白くて、なぜか三種類もの手法を使い分けている。
ひとつ目は升目をほとんど無視して、升の上に線が横断しているもの。
ふたつ目はファミコン時代のドット絵のように、隣り合う升同士で完璧に色がわかれているもの。
みっつ目は異なる色の間の升はその中間色になっている、いわゆるアンチエイリアシング処理がなされているものである。色の差異が大きい場合には、この手法がよく使われている。
なぜこのように使い分けているのか、さっぱりわからない。
若冲の絵を見ていると、ふたつのことを考えさせられる。作家がなぜその作品を描いたのかということと、作家が作品を通じて何を見せようとしたかったのか、ということだ。
一体、何を描きたかったのか? 何を見せたかったのか? 若冲はそれを考え詰めたのだろう。そして、直感的に凄い!と思わせる感動だけが残ったに違いない。

長沢蘆雪 白象黒牛図屏風

でかい。いや単純に大きい、という意味ではなく。描き方が大きいのである。
そして対比するように描かれている、傍らの犬やカラスがとても可愛らしい。

酒井抱一 三十六歌仙

光琳作の模写とされる池田孤邨「三十六歌仙図屏風」と同じく、何度数えても三十五人しかいなかった。
気になる。

河鍋暁斎 達磨図

達磨は江戸時代にかなり流通したキャラクタのようだ。他の絵では女装したりもしてる。
ダルマ萌え(by駕籠真太郎)ってわけ。

片山楊谷 猛虎図

今回の展示では虎だけで10点近くある。中でも一番の迫力があるのが、片山楊谷の作品。なにより構図が良い。
虎は数多くいるが、おそらく本物を見て描かれたものは一枚もないはずだ。つまり龍などと同じ幻獣の図と言っても過言ではないわけである。目玉の描写など、どんどんデフォルメが進んでいる様子が、虎図を比較することでわかる。

総括

とにかくボリューム満点で、素晴らしい逸品ぞろい。一回ではとても味わいきれない。
ほんと、コミケとか行ってる場合じゃないよ!