「アートで候 会田誠・山口晃 展」

この二人がタッグというのが実によかった。二人ともテクニックは一級だし、引き出しも多い。
山口晃は一見、伝統的な日本画なのだが、よく見ると現代社会のヤバさが表れている。一方、会田誠は一見してヤバイんだけど、中々考えさせられるテーマが描かれている。
その対照性と類似性を楽しめる、面白い展示になっている。では、気になったのを幾つか。

会田誠「滝の絵」

自然の滝をバックに、スク水少女が戯れるという巨大な絵画。
胸の名札が、たたずむ場所に応じた名前になっているのが面白い。

山口晃ラグランジュ・ポイント」

洞窟のような先に、囲むようにズラリと兵士の絵が飾られている。遠近感が麻痺し、どこにも逃げ場のない四面楚歌の状態を味わえる。まさに、ここがラグランジュ・ポイントだ。
ただ行列ができていたので、長時間楽しめなかったのが心残り。

山口晃「東京圖」

俯瞰で描かれた東京の都市図。あまりの緻密さに、ただ驚嘆というか、描くのにどのくらいかかるんだろうとばかり考えてしまった。
その風景は、ある時代を切り取ったものではなく、江戸も、明治も、大正も、昭和も、平成もすべてが揃っている。過去から現代、はたまた未来までが重ね合わされた俯瞰図なのだ。

会田誠「ポスター(全18連作)」

でも一番面白かったのは、最後に足を運ぶことになるギャラリーでの展示。
山口晃の「當世免許取得譚」もよかったんだけど、会田誠のポスター連作が面白すぎて笑いが止まらなかった。これは小学校1年から中学3年までの図画工作の課題をシミュレートしたもので、その年代にあわせたタッチで描かれている。しかし描いてあることがブラック。段々名前が書き慣れてきたり、カッコつけて筆記体になっていたりと、芸が細かい。すべてにおいてツボをつかれた感じで、今思い出しても笑いがこみあげてくるほどだ。
まあ、ここまでくるとアートというよりはお笑いだけど。

それにしても、何やってるんだ会田誠は。
http://www.imagerings.jp/gandhara2007_home.html