東京国立博物館「対決−巨匠たちの日本美術」
運慶vs快慶に始まり、応挙vs芦雪、若冲vs蕭白といった日本画の巨匠達の、それも代表作とも言える作品ばかりを集めた夢の対決。
特に第三室、第四室は素晴らしかった。個人的には群仙図屏風などをはじめ、二度目の作品も多かったのだけれども、それでも鑑賞時間が足りなかったほどだ。
気に入った作品をいくつか。
運慶「地蔵菩薩坐像」
ベルニーニの彫刻のような服の襞への異常な執着を感じる一作。そのなめらからな曲線を見ているだけでもうっとりくる。是非ともその裏側までなめるようにみていただきたい。
雪舟「慧可断臂図」
以上に描き込まれたラギッドな洞窟と、顔以外はあっさりと描かれた達磨の姿の対比が面白い。
日本画は地の色を、もっとも重要な色彩として用いることが多いが、この作品は典型的な例といえるだろう。
長沢芦雪「虎図襖 」
なんといってもこれが圧倒的だった。事前に何がきているか調べていなかったので、展示室に入ったとたん、驚きと共に威圧されるような感じをうけた。
その圧倒的存在感は、その巨大さだけが原因ではない。キッと睨み付ける瞳と、そこから放射される集中線に沿って全身の毛並みが描かれている。つまり虎の毛並みの中心が顔になっているわけだ。
曾我蕭白「群仙図屏風」
以前に30分以上見たので、今回は時間の関係上さらっと見るにとどめました。
→http://d.hatena.ne.jp/leibniz/20050820/1124635011
伊藤若冲「旭日鳳凰図」
言ってしまえば地味になりがちの日本画の中で、図案、色彩ともに西洋美術の派手さにひけをとらない若冲の作品。そのなかでもこの作品はスター性をもった一枚だ。グニャグニャと画面を縦横無尽にはい回る鳳凰の羽と、真っ赤な太陽が異様な世界を作り上げている。
富岡鉄斎「富士山図」
本物の富士山とは似てもにつかない、しかし迫力満点の幻想の富士山。以前も見たことがあったのだけど、何度見ても度肝を抜かれる。美しさを超えた驚きと不可思議がそこにはある。