ロバート・J・ソウヤー「イリーガル・エイリアン」
フーコーを連続して読むというのもつらいので、エンターテイメント性に溢れる本を挟むことにした。
というわけでソウヤー。ヤバイ超面白いよコレ。
面倒なので粗筋は裏表紙から引用。
人類は初めてエイリアンと遭遇した。四光年あまり彼方のアルファケンタウリに住むトソク族が地球に飛来したのである。ファーストコンタクトは順調に進むが、思いもよらぬ事件が起きた。トソク族の滞在する施設で、地球人の惨殺死体が発見されたのだ。片脚を切断し、胴体を切り裂き、死体の一部を持ち去るという残虐な手口だった。しかも、逮捕された容疑者はエイリアン…世界が注目するなか、前代未聞の裁判が始まる。
というわけで本書はSFでありながら、バリバリの法廷モノ。しかもかなり本格的で、しっかりとした法的裏付けのもとに書かれているのだから驚きだ。
エイリアンと人間との文化の差異だけでなく、人種差別の問題なんかもからんでくる。特にO・J・シンプソン事件の裁判とうまく重ね合ってくるのが面白い。エイリアンとのファーストコンタクトというテーマを扱いながらも、一方で社会的背景にも目を配っているので、SFファンならずとも楽しめるだろう。
このようにエンターテイメントに徹していながらも、科学的背景や思想的背景もちゃんと織り込んでいるのがソウヤーの凄いところ。しかも物語展開がもの凄く巧いので、ぐいぐいと引き込まれてしまう。
本書は500ページと結構厚いが、その厚さを全く感じさせない疾走感がある。しかもミステリ的な展開もあるので、途中でやめられなくなってしまう。なので後半を読み始めたら一気に読めるように、しっかりと時間を確保して読むことをオススメする。
やっぱりソウヤーは面白いと再確認したので、まだ読んでないのを片っ端から読むことに決めた。
まだ読んでないおもしろ本があるというのは幸せだ。
イリーガル・エイリアンposted with amazlet on 06.09.15
余談
これ映画化すると面白いと思うんだけど、実際にやったら普通の映画になってしまいそう。