2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧
ウリポのホープ、ジョルジュ・ペレックによるドキュメンタリー小説。 と言っても、本書はペレックが得意とする言語遊戯に満ちた小説ではない。移民の国アメリカの側面をエリス島というゲートを通して語るドキュメンタリーである。19世紀後半から20世紀初頭に…
うわ、GIGAZINEに「CODEX SERAPHINIANVS」が取り上げられてる。 →架空平行世界の百科事典「コデックス・セラフィニアヌス」 - GIGAZINE廉価版が出てるのは知らなかった。なんとか入手したいものだ。 以前に書いた記事。情報・リンク集はこっちのほうが充実し…
『回路』の黒沢清が監督、役所広司が一人二役に挑戦した異色作。偶然にも大ヒット商品を開発し、次の商品にも多大な期待が寄せられているエリート研究者・早崎。そんなある日、早崎の分身(=ドッペルゲンガー)が突如現れ、欲望そのままに暴走し出し…。 ホラ…
奇才、ラース・フォン・トリアーとドキュメンタリー映画の名匠ヨルゲン・レスがガチンコ映画バトル。 ヨルゲン・レスの短編「パーフェクト・マン」をセルフリメイクする過程のドキュメンタリーになっていて、リメイクするさいの条件をラース・フォン・トリア…
選書メチエは選書にしてはハードなものが多いんだけど、本書も相当にハードだ。 論理トレーニング的なものではなく、どちらかというと数学よりな内容になっている。なので論理的思考をはぐくむために、ちょいと選書でも読んでみるかという気持ちで手を伸ばす…
サスペンスと思わせておいて奇書。かなりのくせ者である。 面倒なので、粗筋はAmazonからの孫引き。 「いったい、ここは、どこなんだ!?」彼らは孤独に、それぞれ目覚める。そこは小さな部屋、あるのはベッドとパソコンだけ。居場所を把握するため、仲間探し…
ウィトゲンシュタインと、その訳者でもある大森荘蔵の哲学をきっかけに、それを再考・点検することで独自の哲学を模索するという内容。 もちろん哲学の本なんだけれども、(直接そう呼ばれないにしても)話題としては脳科学としてもホットな心脳問題や意識の…
「奇憶」「器憶」「垝憶」という微妙に重なり合う連作短編集。「奇憶」は前に読んだはずなんだけど、微妙に記憶が曖昧だったので再読した。 奇憶 どうしようもない主人公が、本当にどうしようもなくなってゆく、読んでいるこっちまで泣きそうになるストーリ…
セバスチャンの奇妙な冒険(原文ママ) 早世した小説家で腹違いの兄セバスチャンの伝記を書くために、生前の兄の知り合いを訪ね歩くうちに、さまざまな真実が明らかになってゆくという、一種のミステリ。しかしそこはナボコフ、主人公の探偵行為と、セバスチ…
◎アナモルフォシュール音楽劇◎ カフカの卵鐘 ――喩えて鏡の中の機巧オルフェたち、あるいは劇的言語の縫合手術法――構成・演出・音楽・美術:J・A・シーザー 共同脚本:井内俊一 カフカをテーマにした、コラージュ演劇。題材となっているのは有名な短編から…
「シュルレアリスム展」目的で行ったところ、丁度、靉嘔による市民講演会があるとのこと。受付に聞いたら30分くらいだというので、特に興味はなかったんだけど参加することにした。 なかなか話し好きな人で1時間以上語っていたんだけど、聞き始めたらことの…
少女愛じゃないのがポイントなんだろうか。少女の人形、絵画、写真を一同に集めた展覧会。 理想の少女の投票というのをやっていたので、そういう観点から作品を眺めることにした。 抽象的な意味での少女というと、どうしてもベルメールの少女とかを選ばざる…
黒沢清初の本格ミステリーとかキャッチコピーがついてるけど、バリバリのホラー。ホラー苦手な人がコピーを信じて見ると、死ぬほど怖い目に遭わされる。 いわゆる黒沢清お得意の観念的なホラーというやつで、具体的な殺人事件が起こり、それに主人公が否応な…
柳瀬尚紀、久しぶりのエッセイ集。 これまでも熱く主張していた日本語天才説を中心に、中学生でもわかるくらいのレベルで書いた本である。日本語が天才なんじゃないか?というのは、どんな凝った英文であろうとも、日本語ならば何とか翻訳できるぜ!という著…