2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

我孫子武丸「弥勒の掌」

「かまいたちの夜」で御殿まで建ててしまった我孫子武丸、13年ぶりの書き下ろし長編。 小説の構造として「殺戮にいたる病」的なのかなと、バリバリ警戒して読んでいたのだが、見事にはめられた。というよりコア部分の謎に気づくのはまず無理だろう。 読後感…

山口昌男「道化の民俗学」

道化と聞いて、思い出してしまうのはリア王の道化である。 リア王につきまとい、パッパラパーに見えながら巧みな逆説を用いたり、グサリと核心を付くことを言ったりする。キャラ的には嫌なヤツだが、同時に憎めない。シェイクスピアの戯曲の中でもリア王が1…

順番間違えた

ただいま「道化の民俗学」を読んでいるのだが、バフチンがどうのこうのカーニヴァルがどうのこうのという話が頻繁に出てくる。先にバフチンを読んでおくべきだった、とちょっぴり後悔。何冊か持ってるんだけども…… でもバフチン読むんだったら、その前にラブ…

カンパネッラ「太陽の都」

「銀河鉄道の夜」に出てくるカンパネルラの元ネタとなったとされている著者によるユートピア小説。 あの、いたいけないカンパネルラを想像していると、面食らうようなごっつく胡散臭い顔立ちをしている。宗教問題で、何度も死刑宣告もくらったり、拷問されま…

奇想の画家、伊藤若冲

日記なのに堂々と一昨日のことを書く。(忘れてただけ) 土曜日に図書館へ行き、伊藤若冲大全を眺めた。若冲の魅力ってなんなんだろう、そんなことを考えながら。西洋画は好きだけど、日本画は別に興味ないという人は多いと思う。かくいう自分がそうだった。…