2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

モダリティを越境する困難さ

日曜の日経新聞の読書欄に文壇往来というコーナーがある。8/28日の紙面で、中上健次が漫画の原作をやったことに関して、青山慎治が「越境はそう簡単ではないですよ」と述べたと書いてあった。原作がある映画はよく失敗する。越境は難しい。一流の作品をモダ…

ウィリアム・ウィルフォード「道化と笏杖」

道化論のバイブルと言っても過言ではない大冊である。もしも道化論を一冊だけと言われたら、間違いなく本書になるだろう。 道化の起源、現代における道化、精神分析的に見た道化論、物語における道化……等々、目配りが効いている。 また訳者である高山宏がも…

ファブリツィオ・クレリチ(「クリエイション9」)

Fabrizio Clerici、クレリッチだったりもする。 衝動的にクレリチの画集が欲しくなって、いろいろ検索したところ、とりあえず日本で手に入りそうな本がこれだけだった。そして速攻注文、本日届きました。表紙からクレリチだ! 本書に収録されている画家は以…

V・S・ラマチャンドラン「脳のなかの幽霊」

著者、ラマチャンドランは世界で初めて幻の腕の切断手術に成功した医師だ。 事故で失われた腕が、あたかも存在しているかのように感じる幻肢は、ときに激しい痛みを伴う。見ることもできない腕をどうやって治療すればよいのか? ラマチャンドランは鏡を使っ…

美の巨人たち

今、ラマチャンドランの「脳のなかの幽霊」を読んでいます。 それで「美の巨人たち」を見ていたら、秋野不矩の教え子としてラマチャンドランさんがインタビューに答えてました。もしかしてインドでは一般的な名前なのか?インド人の名字って妙にステキだ。 …

変わり者十ヶ条

読書における変わり者十ヶ条。 変わり者は最悪ボルヘスだけあればいいかと思っている 変わり者は「トリストラム・シャンディ」こそが最高の小説だと信じている 変わり者は「事実は小説よりも奇なり」なんて嘘だと思っている 変わり者は世界書物が実在すると…

茂木健一郎「脳の中の小さな神々」

茂木健一郎が語り、歌田明弘を聞き手とした語り下ろし。 茂木健一郎の研究テーマに関する最新科学を語りつつ、解き明かされていない部分に関しては自説を交えて説明してゆく。言葉のはしばしに茂木健一郎の文学観、哲学観がにじみ出ていて、たとえば科学主義…

下村純一「不思議な建築―甦ったガウディ」

メインはガウディの「サグラダ・ファミリア」「コロニア・グエル」「カサ・バトリョ」。それらの有機的な建築の魅力を、無機的な現代建築を批判しながら語ってゆく。 実はガウディに興味があるというよりは、後半にちょこっだけ「シュヴァルの理想宮」が載っ…

茂木健一郎「脳内現象」

ようやくここ最近の茂木健一郎に手を出し始めた。 ほとんどの講演を聞いており予習はばっちりだったため、わかるわかるぞ!あれもこれも知ってるぞ!ファースト・ペンギンとかカーネマンの神経経済学とか耳にたこができるほど聞いてるよ!と悪い子になりなが…

アウラを感じたい

美術館でいろいろとパンフレットをもらってきた。あれも行きたい、これも行きたいという感じ。なんだかんだいって本物を見るというのはいいものである。とりあえず行きたいところを表にした。 場所 展示内容 期間 東京国立美術館 北斎展 10/25〜12/4 国立西…

ハワード・ヘイクラフト「娯楽としての殺人」

旅行のお供にした本。なぜだかAmazonに登録されていない。 キャスリーン・グレゴリー・クライン「女探偵大研究」 - モナドの方へで引用されまくっていた、60年前に書かれた探偵小説論。古いです。アガサ・クリスティがまだ現役の頃です。 内容を分析した評論…

実世界プログラミング(佐藤雅彦研究室展)

前回訪れたときは日曜休館の憂き目にあった、そのリベンジ。基本的には以前NHKの特番でやっていたことが展示されていた。地下で上映されていた映像特集Bでは、特番でやらなかったプロトタイプのような実験的なものも見ることができた。「フィルムの自由…

曲線と直線の眩暈(曾我蕭白)

初めて東京国立博物館である。広すぎて泣きそうになった。 郡仙図屏風どこにあるのー、と本館を探し回ること1時間。結局わからず、係員に聞いたところ、平成館にあったのでした。しかも小さな特別展示室にあるのでわかりにくい。 で、ドキドキしながらご対…

絵画内リアリズム(ギュスターヴ・モロー展 )

渋谷、bunkamuraにてモローとご対面。 モローと言えば一角獣、そしてサロメ。その両方が拝めるのだからウハウハである。個人的に見たかったスフィンクスは習作しかなかった、残念。 モローの絵は大きな絵も小さな絵もぼんやりしている。遠くから見ても近くか…

東京美術ツアー

東京美術ツアーをして参りました。今回のメニューは…… 東京国立博物館(目当ては曾我蕭白の群仙図屏風) 佐藤雅彦研究室展(リベンジ!) セルジュ・ルタンス展 ギュスターヴ・モロー展 の四本立て。ハードスケジュール!

超世界の麗人像(セルジュ・ルタンス展)

会場は銀座のハウス・オブ・シセイドウ。カーテンに仕切られた、まるでお化け屋敷のような真っ暗な通路の奥にセルジュ・ルタンスの美人像がスポットで妖しく光っていた。セルジュ・ルタンスの作品は資生堂のCMを通して誰しも一度は見ているはずだ。自分が…

メモ

お盆前にやろうと思って後回しにしてるネタが沢山あるのでメモ。 クオリア日記 「道化と笏杖」 ウリポ関係のまとめ 探偵小説とアブダクション

お盆の一言

一個人が確実に後世に残せる記録媒体は墓石だけだ(父) 500年は残せると力説しておりました。確かにブログじゃ、よくて50年ってところか。

他人に迷惑かけなければ何やってもいい、らしいぞ

お盆は呑みながらハードゲイ*1とハードプロブレムについて語ってばかりいた。ハードな夏だ。 せっかくなので文脈主義について色々と考えようと思っていたのだが、それ以前の問題が浮上。それは単純な絶対主義と、それと反発する形で生じる単純な相対主義だ。…

ジェラール・ド ネルヴァル「火の娘たち」

読んでいるうちに頭の中がくらくらしてくるメタ詩歌幻想恋愛小説。ひとことでは表現できません。 面白かったのは「アンジェリック」にあるこの掛け合い。 (殊能将之も日記で引用していたけれども) 「君はディドロその人の模倣をした。」 「彼はスターンを…

漫画三昧

お盆はこんなのを読んで過ごしました。実家に帰ると漫画ばかり読んでしまいます。 吉野朔実の作品はバリバリ構造主義的なにおいがする。ジュリエットの卵 (1)posted with amazlet at 05.08.19吉野朔実 小学館 (2001/01)売り上げランキング: 186,567Amazon.co…

お盆休み

一週間ほど更新が滞ると思います。

今日の出来事

ウィルフォードの「道化と笏杖」を読み終わったんですが、とても濃いので後日まとめたいと思います。 あと、渡邊文樹監督の「御巣鷹山」に行き損ねました。残念。

本物十ヶ条

読書における本物を考えてみた。 本物は「神曲」を読んでいる 本物は「失われた時を求めて」を読んでいる 本物はミルトンの「失楽園」を読んでいるが、渡辺淳一の「失楽園」は読んでいない 本物はボルヘスの価値がわかっている 本物は詩を原書で読む 本物は…

クオリア日記を読む その3

とりあえず読了した。 本当にいろいろ考えさせられる、内容が多い。 時間もないので、一部を取り上げると、 斎藤美奈子の「文壇アイドル論」に出てきた作家は、本来まともにとりあう必要のない作家たちなのかもしれない。 そのような雑魚が、大衆社会の流通…

Luigi Serafini「CODEX SERAPHINIANVS」

日本語なら、ルイジ・セラフィーニ「セラフィーニの写本」「セラフィーニ法典」になるだろうか。 Googleで調べる限り、日本でセラフィーニを紹介しているサイトはないようである。祝!初紹介。 セラフィーニはイタリアのシュールレアリスム系の画家だ。彼の…

ハワード・ヘイクラフト編「推理小説の美学」

図書館から借りたので、旧版というか研究社のもの。 原書は53編もの評論を収録している大冊で、本書では19編に割愛されている。新版の「ミステリの美学」の方も同じく割愛されているようだが、選び方が少々異なるようだ。(下記、目次参照) 最初にあとがき…

演劇実験室◎万有引力「アヴェロンの野生児」

ショーペンハウアー的幻想音楽魔劇 アヴェロンの野生児 −俳優マクベスと野生児ヴィクトールの内在生成学− 作・演出・音楽・美術:J・A・シーザー 万有引力久しぶりの本公演ということでワクワクしながら千秋楽を観劇。 実は万有の演劇において期待してるの…

佐藤雅彦研究室展

小旅行をして参りました。 まず新橋で集合して、ギンザ・グラフィック・ギャラリーへ。 意気揚々と向かったところ、……日曜・祝日は休館…… みんな、すまんかった。_| ̄|○仕方ないのでアップルストアを見て回りました。 Mighty Mouse面白い。でも脇の感圧ボタ…

「クオリア日記」を読む その2

今日はクオリア日記の過去ログを数時間読んだ、でもまだある。とにかく濃くて長い。 そして過去の茂木健一郎は非常にアグレッシブで、最近はかなりまろやかになってきてるんだなあというのがわかった。昔は2ヶ月に一回ぐらいTV局に抗議の電話をいれてたりす…