高山宏「知の系譜と人文科学の未来を語る」

「超人高山宏のつくりかた」の出版記念ということで、新宿紀伊国屋ホールにて高山宏の講演が行われた。
二時間の予定ということだったんだけど、ふたを開けてみたら二時間半、しかも休憩なし。
二時間を少し回ったあたりから紀伊国屋の人が何度も止めに入ろうとして、そのたびに高山宏はまとめに入ろうとするんだけど、再び脱線して転がり出すという展開が何度も続いたのがおかしくて仕方なかった。

講演の内容としては最近文庫化した「近代文化史入門 超英文学講義」に近い。いちいちネタを仕込んでくるトークは終始笑いが絶えることなく、大満足の二時間半だった。
個人的にはロビンソン・クルーソーの本名がローゼン・クロイツである可能性を考えるという話が興味深くて、この説からインスパイアされたという「ロビンソンの砦」もぜひ読んでみたい。

最後の質問時間で「blog等のメディアについてどのような考えを持っているのでしょうか?」と訊ねたところ、17世紀に始まる王立協会の流れに沿った文化であると答えてくださった。
確かにインターネット等は、その速度やスケールで圧倒的革命に思えるが、その根底は王立協会や薔薇十字団の延長線上にある。それだけに高山宏にとっては、ITやらアキバ系や単なる傍流に見えるのだろう。とはいっても、だからこそ本当は高山宏のような人にこそ分析してもらいたいのだけれども……。
衣鉢を継ぐ若い学者がやってくれることを期待したい。