「第一回 monado nite」
9/24の夜9時から人生初のustream放送を行いました。
「第一回 monado nite(モナドにて)」と題して美術・文学・思想なんかを絡めつつ喋り倒そうというコンセプトで、始めは「Codex Serafinianus」をメインで進めていたんですが、アドリブでどんどん脱線。気づくと三時間半も話してしまいました。
これもひとえに長時間付き合っていただいたみなさんのおかげです。
レジュメとか用意してなかったんですが(というかアドリブなので用意できなかった)、喋るとviewerがすぐに調べてリンク貼ってくれたりしてくれたので大変助かりました。twitterで告知したんでギークが多かったのがよかったのかな。
以下、紹介した本と、それに関するサイトのまとめです。
- Codex Serafinianus
コデックス・セラフィニアヌス - モナドの方へ
Codex Seraphinianus | Kent Wang | Flickr
codex seraphinianus | a new Voynich MS | i-shan | Flickr
http://www.brainsturbator.com/site/comments/shameless_filler_a_codex_serpahinianus_gallery/
コデックス・セラフィニアヌス - Wikipedia
類似する本として、
- ヴォイニッチ写本の謎
- ハラルト・シュテュンプケ「鼻孔類」
- ジョアン・フォンクベルタ「秘密の動物誌」
Codex Serafinianusを知ったきっかけが
- イタロ・カルヴィーノ「砂のコレクション」
- マルコ・ベルポリーティ「カルヴィーノの眼」
よく調べたら、この本にもCodex Serafinianusの記述があった
暗号のようなで書かれた本と言えば、
言語の創造という展開から
- ジェイムズ・ノウルソン「英仏普遍言語計画」
そこで完全言語といえばライプニッツとジョン・ウィルキンズ
- E・J・エイトン「ライプニッツ普遍計画」
外交を数学で解くという話が出てくる。不完全性定理をLISPで証明した凄い人。
- グレゴール・チャイティン「セクシーな数学」
http://www.unfindable.net/~yabuki/article/unknowable/chaitin.html
思考を数学的に証明しようという方法論
- スピノザ「エチカ」
ここでブラウザのトラブルでfirefoxを再起動、id:kotorikotorikoの高橋新吉ボケに負けじとノリツッコミ
- 萩原恭次郎「死刑宣告」
ここで実験的な奇異な文学の源流を辿る目的として、バロック・マニエリスムの聖典を紹介。
まずは絵画篇。
- グスタフ・ルネ・ホッケ「迷宮としての世界 マニエリスム美術」
次に文学篇。
また驚異の文化としてひとつの重要な概念になってくるグロテスクを説明。
- 原研二「グロテスクの部屋」
グロッタが個室(ストゥディオロ)に変化してゆくという話にあわせて、カメラ・オブスクラ(暗い部屋)およびキルヒャーの光学魔術を紹介。
- ジョスリン・ゴドウィン「キルヒャーの世界図鑑」
id:kotorikotorikoが紹介してくれた、江戸のカメラ。
http://www.t3.rim.or.jp/~minwaza/Site2/21AF6286-A721-4522-8C4D-6722B71ED762.html
再びCodex Serafinianusに戻って、変な絵を幾つか紹介。魚が運ばれてくる配管の話から駕籠真太郎の話題へ。
- 駕籠真太郎「駅前花嫁」
http://www.sanwapub.com/taciyomi/flamnew/FLA_205/F205KAGO/KAGOb.html
配管だらけの都市といえば、カルヴィーノにもあるよね。
- イタロ・カルヴィーノ「見えない都市」
ここでid:todeskingから「木のぼり男爵」の話題を振られ、私たちの祖先三部作の話へ
- イタロ・カルヴィーノ「不在の騎士」
- イタロ・カルヴィーノ「まっぷたつの子爵」
- イタロ・カルヴィーノ「木のぼり男爵」
そう言えば「木のぼり男爵」にリチャードソン「クラリッサ」を読ませてくれ、というシーンがあることから。世界初の小説「パミラ」「クラリッサ」の話に。ちなみに「パミラ」の主人公パミラは15歳のメイドです。
- リチャードソン「パミラ」
パミラー淑徳の報い リチャードソン - くろにゃんこの読書日記
- リチャードソン「クラリッサ」
http://yorific.ilcs.hokudai.ac.jp/
「パミラ」の副題が「淑徳の酬い」であるのに対し、その反対をやったのがマルキ・ド・サドの小説。
- マルキ・ド・サド「ジュスチーヌまたは美徳の不幸」
当時のパミラ熱がよくわかるパミラVSシャミラという面白い話が登場する
ここでトリストラム・シャンディの話をしたらid:kotorikotorikoがシャンデー!と叫んだ。これは夏目漱石の書評を踏まえている発言で、漱石曰く頭も尾もないなまこのような小説である。
夏目漱石『トリストラム、シヤンデー』
自分の読書歴を語る上で欠かせない読書案内書として
- 荒俣宏「別世界通信」
要望もあって、ここからずっと高山宏のターン。
次のシリーズでは高山宏の女装も載るという
- 高山宏「エクスタシー」
高山宏伝説が満載の最新作
ルイス・キャロルの話や、白鯨論が面白い処女作。今年中に新装版がでるらしい。
- 高山宏「アリス狩り」
「アリス狩り」を読んでから、読むと一層楽しい。
- ハーマン・メルヴィル「白鯨」
貴族たちが作った庭が世界とマップする
- 高山宏「庭の綺想学」
イギリス庭園を理解するならこれ
- ピーター・グリーナウェイ「英国庭園殺人事件」
卓・橋・数・螺旋・気象という5つのタームで織りなす4つのグラン・シエクル
タブローの論議と言えばまずこれ
- ミシェル・フーコー「言葉と物」
ナンバリングするって何?
- ピーター・グリーナウェイ「数に溺れて」
荒俣宏との対談が最高すぎる
- 高山宏「痙攣する地獄」
- マリオ・プラーツ「肉体と死と悪魔」
日本の幻想文学を論じた
- 高山宏「黒に染める」
ここで江戸文学とイギリス文学を比較しているという流れから、デフォー、スウィフトの話に。
当時の皮肉の効いた政策提案パンフレットって面白い!
- スウィフト「アイルランドにおける貧民の子女が、その両親ならびに国家にとっての重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんとする方法についての私案」
図書カード:アイルランドにおける貧民の子女が、その両親ならびに国家にとっての重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんとする方法についての私案
人を殺せる厚さ、でも実際に殺すなら清涼院流水の「コズミック」「ジョーカー」「カーニヴァル」を使うこと。高山宏のチャートが拝める。
最近文庫化してタイトルを「近代文化史入門 超英文学講義」に改めた
- 高山宏「奇想天外英文学講義」
ここで「奇想天外英文学講義」に出てくる山口昌男が両義性を理解しようとしない日本の英文学に絶望した!という話から
- 山口昌男「文化と両義性」
道化論の聖典ということで
- ウィルフォード「道化と笏杖」
道化を理解したいなら、まずシェイクスピアの「リア王」「ハムレット」を読むと良い。
道化などのトリックスターは最近のアニメ、漫画にも欠かせない存在だ。
その後アニメの話になって、ラブひながどうのという話から阿部日奈子の話に。
とても面白い詩を書く。お気に入りの詩人です。
- 阿部日奈子「典雅ないきどおり」
絶版です。
- 阿部日奈子「海曜日の女たち」
ここで力尽き、第一回monado niteは終了。
果てしなく疲れたけど、とても楽しい三時間半でした。このまとめアサマシも疲れた。
それにしても調べていたら絶版が多すぎて泣きそうです。みんなも人文書籍をもっと買って、絶版と闘いましょう。