ALI PROJECT「Psychedelic Insanity」

ある意味、タイトル通りのカオスな仕上がり。Lunaticが青白い狂気とするなら、Insanityは極彩色の狂気になるだろうか。過去と未来、和洋中、ポップとクラシカル、すべてごちゃ混ぜにしたような雰囲気になっている。一回聞いただけだとメドレーを聞いているんじゃないかと錯覚するぐらい、一曲の中にもさまざまな要素が交錯している。
それでも、どこを切り出してきても、これぞALI PROJECT!というテイストで溢れていて、そのオリジナリティを感じられる一枚だ。曲目は以下の通り。

1. 青嵐血風録
2. 暗黒サイケデリック
3. CYBER DEVILS
4. 胡蝶夢心中
5. 纏われし者ら
6. 欲望
7. 暴夜layla幻談
8. 六道輪廻サバイバル
9. 若い死者からのレクイエム
10. gai desespoir〈instrument〉

青嵐血風録

いきなりその世界に牽引するのに充分なパワーを持った楽曲。大和ソングと謳っておきながら、その基調低音にはしっかりと欧風な響きもあるところがまさにALI PROJECTの本領発揮と言ったところ。
これを一曲目に持ってきたの大正解だろう。

暗黒サイケデリック

時間も空間もトリップしてしまったような怒濤の展開。青嵐血風録が、世界への導入だとすると、この曲は誘われた者達を暗黒に叩き落とす一曲。かなりカオス。

CYBER DEVILS

終戦争後にヴァーチャルリアリティの中で暮らしているようなイメージなのだろうか。
DEVILSが複数形なのが気になる。

胡蝶夢心中

打ち込みの曲が多いアルバムの中で、数少ないストリングスが主役の一曲。
ちなみにブックレットでも、このページに一番蝶が多い。

纏われし者ら

昔のALI PROJECTの様な曲調。頭韻を駆使した巧みな言葉遊びに溢れた歌詞なので、朗読してみると面白いだろう。

欲望

アルバムの中では、おそらく一番まともな曲。このへんで落ち着いて一息つきましょう。
そういえばアントニオーニも亡くなってしまったなあ。

暴夜layla幻談

「アラビア レイラ ゲンダン」と読むのだろうか。優雅で残酷な千夜一夜物語

六道輪廻サバイバル

歌詞といいメロディといい一番のお気に入りなんだけど、歌い方がちょっと軽い。「青嵐血風録」みたいな歌い方のほうが雰囲気にあっているような気がする。
ちなみに六道は「りくどう」だと思っていたら「ろくどう」だった。どちらの読みでもOKみたい。

若い死者からのレクイエム

普通だったら「死んでしまう」と書いてしまいそうなところを、あえて「死んじゃう」としているあたりが、タイトルの意味を強化している。重く、落ち着いていて、それでもなお若者に向けたメッセージとなっているところは、特に昨今の試聴層を意識しているのだと思われる。

gai desespoir

「快活なる絶望」と題されたインストゥルメンタル。最後がインストというのは、おきまりごとのようになっているので、一枚を聞き終わったという感慨に浸れる。

それにしてもこれだけ色々主題歌をやっておきながら、きっちりオリジナルアルバムをリリースしてくれるというのは大変ありがたい。

余談

インタビュー記事はこちら
http://www.animate.tv/news/detail.php?id=atv070823b