ディーノ・ブッツァーティ「石の幻影」

ブッツァーティ「神を見た犬」 - モナドの方へブッツァーティに見事はまったので、とりあえず全部読んでみるかということで、少しずつ攻略してゆくことにした。本書も短編集ということで「神を見た犬」といくつか作品がかぶっている。

石の幻影

本書の半分以上のページを埋めている中篇。秘密の研究所に案内された天才物理学者とその婦人の物語。
「未来のイブ」や「モレルの発明」を思わせる展開で、この手の話が好きな人には堪らない。研究所自体が一人の人間になっているという、サイバーパンク幻想文学

誤報が招いた死

カフカ風の物語を星新一の軽妙さで描いた短編。新聞は真実しか書かない。

拝啓 新聞社主幹殿

江戸川乱歩の「人間椅子」を思わせる展開にニヤリとさせられた。これは短編集の最後に持ってこざるを得ない内容である。
同じく新聞ネタの「誤報が招いた死」と対比すると面白い。

石の幻影―短編集
石の幻影―短編集
posted with amazlet on 07.08.31
ディーノ・ブッツァーティ Dino Buzzati 大久保憲子
河出書房新社 (1998/12)
ISBN:4309203051