ジョージ・G・スピロ「数をめぐる50のミステリー」

数学雑学小咄を50こつめんこんだ一冊。内容も歴史的な話から最新レベルの話までさまざまだ。頭から通して読んでいると、そのトピックに必要な冗長な記述があったりするが、逆に言うとどこからも読めるように書かれている親切設計になっているということである。
前半の内容はほとんど知っていたものばかりだったが、後半になるにつれて新しい話題であるため、新鮮であった。
特に興味深かったのが圧縮アルゴリズムを用いて作者を推定するという試みだ。人それぞれ書き癖や好きな単語などが当然あるので、同一人物のテキストであれば圧縮度は高まる。
そこで作者不明のテクストを圧縮(普通にzipとかでOK)しておき、そこにAさんのテキストとBさんのテキストをそれぞれ追加圧縮する。より高圧縮であったほうが元のテクストの作者であるというのである。これは統計上かなりの確率で当たるらしい。
純粋な数学的な話も面白いが、他の学問分野と思わぬ接点があったりすると、大変ワクワクする。ひとつのトピックが短いだけに深く追求されてはいないが、エッセンスは充分に楽しめる本だ。