小林泰三「臓物大展覧会」
小林泰三の得意とするある種のテイストにニヤリとさせられる短編集。
タイトルと表紙から想像されるようなグロくてホラーな感じというのはほとんど無し。むしろ論理的な展開とあざやかなオチが目立つ。個人的にデビュー当初から感じていた星新一っぽい風味が色濃く出ている一冊だ。
以下、気になったところをリストアップ。
透明女
元ネタは萩原朔太郎の「死なない蛸」だろう。これまた大好きな短編なので、それだけでも満足。
ホロ
ははあ、これが噂の狼と香辛ryと思ったら全然違った。むしろアーサー・ケストラー「機械の中の幽霊」のホロンか。というか「機械の中の幽霊」プレミアつきすぎ!
機械の中の幽霊 (ちくま学芸文庫)
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SRP
ΑΩではリアルウルトラマンをやったが、これはリアル地球防衛隊もの。詰め込まれたネタとギャグセンスに脱帽した。
ところでブキチと聞くと魔少年しか思い浮かばないのだが、果たして……
悪魔の不在証明
小林泰三の小説といえば、非常に論理的な登場人物がでてくることが特徴的だが、本作はそれをナンセンスジョークのレベルにまで昇華している。正直村と嘘つき村の論理クイズだと思って、ちゃんと考えながら読むとより面白い。
ホラー文庫なのに爆笑の連続という不思議な読後感。小林泰三の個人的に好きなテイストが全開だったので、大変に満足した。
臓物大展覧会 (角川ホラー文庫)
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