仁木英之「僕僕先生」

萌える抱朴子・列仙伝。
巽孝之の書評で興味を持って読んだところ、本当にかなりの萌え度だった。

父親にパラサイトしていた22歳ニートの若者が、仙人に弟子入りして世界を旅するという内容なんだけど、この仙人というのが、白髭の老人なんかではなく、見た目は十代前半の少女なのだ。しかもツンデレ、ツルペタ、ボクっ娘、まさに日本ファンタジーノベル大賞のリーサルウェポン、キタコレなわけである。

そうはいってもツンツンデレデレな萌えシーンばかりではなく、物語自体はわりと正統派の冒険譚。登場人物や個々の逸話も元ネタがあるようなのだが、それを上手く咀嚼し、ここまで読ませるストーリに仕上げた作者の手腕は見事だ。
また舞台が中国だけに、使われている漢字は結構難しかったりする。なのであまり手を抜いて読んでいると、最終的に入浴シーンしか覚えていないということになりかねない。特に中国の歴史や物語に詳しくない人は、やたらと漢字が密集している記述のところは集中して読んだ方がよいだろう。

佐藤亜紀の作品のような重厚さはないが、楽しく読める冒険活劇としては一級品。どの脇役も個性があって面白い。続編も出るということなので、色々な方向で期待したい。

ちなみに著者紹介の下に描いてあるのが作中にも出てくる帝江。この絵でもなかなかカワイイんだけど、原典である山海経ではちょっとデップリしてて負けず劣らずカワイイ。

中国の妖怪図鑑。こっちの帝江も要チェック。

余談

「すると二人の同時はなにやらぴるぴると話を始め」という一節があるんだけど……
ぴるぴる!?

余談2

余計なお世話だが、後半はデレが入りすぎなので、もう5%くらいツンが入った方がバランスが良いような気がした。

余談3

余計なお世話だが、表紙がいとうのいじだったら倍は売れたんじゃないかな。