「オールアバウト シュヴァンクマイエル」

ルナシーのパンフレットも兼ねてのシュヴァンクマイエル本。
やたらと豪華な執筆陣による解説、数々の裏話、シナリオ完全収録というのも嬉しい。

読んで驚いたのは、ルナシーに登場する精神病院の患者は本物だということ。確かに妙に素人っぽいのに真に迫っていると感じたのはそういうことだったのか。
他の主演役者陣のインタビューも、皆、驚くほど考えて映画に取り組んでいる姿勢が分かって面白い。日本の役者と違って、みなインテリなんですね。
コンパクトにまとめられた全作品紹介なんかもあって、とっかかりにはもってこいの作りになっている。
ただルナシーの中で登場する双六とカードの絵などがほとんどなかったのが、期待していただけに残念。もしかすると、別冊ででたりするのだろうか。

次回作に関する情報もいくつかあって、次は写真などを応用した全編アニメーション作品になるとのこと、これは楽しみだ。タイトルは「みずからの人生を生き抜く――精神分析的コメディー」(仮)。

最後に、帯に載っているもの凄く深くてカッコイイ言葉でしめよう。


想像力がある限り、世界は完成しない
――ヤン・シュヴァンクマイエル

ちなみにルナシーの原案はエドガー・アラン・ポオの「タール博士とフェザー教授の療法」。
読んだはずなのに、すっかり忘れていて気づかなかった。

「タール博士とフェザー教授の療法」収録