ロバート・J・ソウヤー「スタープレックス」

スペースオペラプリンアラモード。大ネタ小ネタが盛りだくさん、おいしいとこ取りである。
実はこの手のスタートレック的なSFはあまり読んでいなかったので、ちょっと慣れるのに手間取ってしまった。けれども一度その世界観に没入できると、文字通りハマる。

このネタだけで一本長編小説が書けるだろという大ネタが10以上も惜しげもなくつめこまれているので、まるでシリーズものを読み終わったかのような満足感を得られる。しかも人間原理クォークの話など、未解決の宇宙論の難問に対して次々と明快な回答が与えられるのだからたまらない。
小ネタもセンスが良く、各種族の特徴や奇妙な風習、細かなガジェットまで恐ろしく作り込まれている。またストーリーも割とあっけらかんとしていて、一方で戦争が起きかかっているのに、スタープレックス号は赤ん坊を助けるプロジェクトを実行していたりと、楽観的なソウヤーの思想が反映されているようだ。

この手のSFが好きで、まだ読んでない人は読まなきゃダメ絶対。

余談1

ガラスマンとの対話がアルファ・ドレイコニスから始まってエータ・ドレイコニスまである。
このドレイコニスって何だろうと思って調べたところ、竜座の属各だった。なのでアルファ・ドレイコニスは竜座のα星ってことなんですな。納得。
でも竜座はξまであるので、章の数も合わせてもらいたかったな。

余談2

イブ族の話し方が妙に愛らしい。