若島正「殺しの時間」

ミステリマガジンに連載されていた読書にまつわるエッセイ&書評。
主に未訳(連載当時)のものを扱っていて、かなりマニアックなモノも多い。3ページに1冊以上というペースで本が紹介されるというかなりヘビィな内容なので、読んでいるとクラクラしてくる。休み休み読まないと、内容が飛んでしまうので危険だ。
一番気になったのがジョルジュ・ペレック未完の遺作『「五十三日間」』。というかこれをチェックしたくて買ったといっても過言ではない。これが「未完のミステリ」をあつかった未完のミステリで、殊能センセー曰く後期クイーン問題を扱ったメタミステリ。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/mercysnow/Reading/read0607.html#53days
ほら、読みたくなってきたでしょ。とりあえず翻訳されることを祈るばかり。

また高山宏センセー訳&一押しのステファーノ・ターニ「やぶれさる探偵」に関する言及が何ヶ所かあるんだけど、若島センセーはお気に召さなかったご様子。こういうポストモダンがどうのという話はもう飽き飽きしているらしい。とりあえず入れ子みたいな典型的構造には拒絶反応を起こすようだ。
(個人的には「やぶれさる探偵」は面白かった。特にミステリとして読むカルヴィーノ「冬の夜ひとりの旅人が」とか)


ちなみにメインで紹介されている本で、既読のものはギルバート・アデアの「作者の死」「閉じた本」とブコウスキーの「パルプ」だけだった、修行が足りない。
現時点で1/3くらいは翻訳されているし、これから翻訳されるものもあるだろうから、気になった本は追いかけたい。
以下、気になった本リスト。(前々から読もうと思っていたものも含む)

既訳

未訳

  • サルマン・ラシュディ「ハルーンとお話の海」
  • レオナルド・シャーシャ「開いたドア」
  • クリスティン・ブルック=ローズ「テクスターミネイション」
  • J・P・スミス「光の発見」
  • パトリック・マックケイブ「ブッチャー・ボーイ」
  • ロバート・グルディン「本」
  • ジョン・T・アーウィン「解決に至る鍵――ポオ・ボルヘス・そして分析的探偵小説」
  • チャールズ・パリサー「背信
  • ウィリアム・ヒョーツバーグ「Nevermore」
  • マギー・ジー「言い換えれば、死」

余談1

どっかで読んだことのある内容が多いなと思ったら、半分くらいは「乱視読者の帰還」に収録されてるとのこと。自発的に気づけよという感じ。

余談2

私、恥ずかしながらミュリエル・スパークがうまく発音できません。