ロバート・J・ソウヤー「フレームシフト」
遺伝子をメインテーマに据えたSFミステリ。
我孫子武丸があとがきを書いているだけに、否応なくミステリとしての展開を期待してしまう。
遺伝病を抱える主人公がネオナチの暴漢に襲われて、というワクワクさせられる出だし。しかし最終的なオチは、今ひとつ納得できなかった。
テレパシーなどのガジェットも論理的必然性が感じられず、少なくとも本格ミステリ的な期待を持ってしまうと、がっかりしてしまうかもしれない。むしろこれまで読んだことのある「ターミナル・エクスペリメント」「イリーガル・エイリアン」の方がどんでん返しは上手くて、こちらの方が本格ミステリファン向けと言えるだろう。
もちろんソウヤーだけにストーリーの展開は手に汗握るモノがある。エンターテイメントとしては大満足だ。SF、アクション、サスペンス、全体的にまんべんなく手をつけているだけに、ソウヤーの著作の中でも一般受けしそうな内容ではある。初心者にもお勧めだ。
ただ個人的にはもうちょっと尖ったのが読みたいと思った。
余談
その手の人に聞いたところ、フレームシフトというのは結構一般的な用語らしい。