ガルシア=マルケス他「エバは猫の中」

ラテンアメリカ文学の精鋭を集めた短編集。これでもか!とばかりの豪華な面子である。
収録作は以下の通り。

アランダ指令官の手 アルフォンソ・レイエス
波と暮らして オクタビオ・パス
犬が鳴いてないか ファン・ルルフォ
生活費 カルロス・フェンテス
カナリアとペンチと三人の死者のお話 ホルヘ・イバルグエンゴイティア
包誠(パオ・チェン)による歴史 サルバドール・エリソンド
遊園地 ホセ・エミリオ・パチェーコ
ミスター・テイラー アウグスト・モンテローソ
エバは猫の中 ガブリエル・ガルシア=マルケス
イシチドリの夜 ガブリエル・ガルシア=マルケス
記章(バッジ) フリオ・ラモン・リベイロ
薔薇の男 マヌエル・ローハス
閉じられたドア ホセ・ドノーソ
羽根枕 オラシオ・キローガ
水に浮かんだ家 フェリスベルト・エルナンデス
旅行者──一八四〇年 マヌエル・ムヒカ=ライネス
パウリーナの思い出に アドルフォ・ビオイ=カサーレス
追い求める男 フリオ・コルタサル

アンソロジーというと、好みの問題もあるので、3割くらい気に入ったのがあればいいほうなんだけど、このチョイスはまさに粒ぞろいで、ほとんどハズレがなかった。

アランダ指令官の手 アルフォンソ・レイエス

切断された右手が動き出す。茶目っ気たっぷり?の右手の顛末はいかに?

波と暮らして オクタビオ・パス

押しかけ女房の波タンと、ラブラブ窒息プレイ。いやマジで。

包誠(パオ・チェン)による歴史 サルバドール・エリソンド

短いが、俊逸なメタ小説。

遊園地 ホセ・エミリオ・パチェーコ

この作者を知らなかったというのもあるが、収録作のなかで、一番衝撃を受けた作品。
遊園地を舞台にした8つのショートショート連作で、そのどれもにヒネリがある。
ジョイスの「ユリシーズ」を短編にするとこうなるという感じだろうか。

記章(バッジ) フリオ・ラモン・リベイロ

諸星大二郎星新一といった感じ。

薔薇の男 マヌエル・ローハス

驚愕のオチ、というわけではないけど、ラストの一行が効いている。

水に浮かんだ家 フェリスベルト・エルナンデス

水は語る。

パウリーナの思い出に アドルフォ・ビオイ=カサーレス

実はこれが読んだ一番の目的。「モレルの発明」や「脱獄計画」などに比べると展開の意外さはない。
それでも、いつもの形而上学的な雰囲気は漂っている、哲学恋愛小説。

サンリオ文庫なのでプレミアがついている。

タイトルは違うけど、内容は同じ。こちらの方が新しいので手に入りやすいかも。