下村純一「不思議な建築―甦ったガウディ」

メインはガウディの「サグラダ・ファミリア」「コロニア・グエル」「カサ・バトリョ」。それらの有機的な建築の魅力を、無機的な現代建築を批判しながら語ってゆく。
実はガウディに興味があるというよりは、後半にちょこっだけ「シュヴァルの理想宮」が載っていたので購入した。
他にもぶっとんだ素人建築としてレイモン・イシドールの「ピカシェット」(ピカソもどきという意味)を紹介している。
ガウディ、シュヴァル、イシドールの共通点は死ぬまで建築増築し続けたということだ。爪の成長を止められないように、彼らは建築をやめることができなかったのだろう。

またポンピドゥー・センターの部分写真があり、まるでグロスベルクの絵画そのものである。配管むき出しの無機的ながらも、どこかガウディの有機性にも通じるものがある、と論じている。人間は金属やコンクリートにも生命を見いだせる、無機物に秘められた生の躍動を殺さない建築が、今、必要なのかもしれない。

やっぱ「シュヴァルの理想宮」は何度見てもすごいなあ。本物を見てみたい。