批評理論

レッシング「ラオコオン」

wikipedia:ラオコオンとは、神官ラオコオンが蛇に襲われる様を描いたギリシャ彫刻である。ルドルフ・ハウスナーなどもその図像をコラージュ的に使っている。迫力とインパクトのある彫刻だ。レッシングはラオコオン彫刻を中心に、絵画(この場合は彫刻だけど…

ハロルド・ブルーム「影響の不安」

ハロルド・ブルームの理論は奇妙だ。 ブルームの理論は一言でいうと「シェイクスピアに与えたT・S・エリオットの影響について考える」ということである。おいおい逆だろ逆!と思ったあなたの精神はまともだ。ブルームの考え方がちょっと異様なのだ。なぜこの…

「現代の批評理論」

批評理論なんて全然知らなかった大学の頃に、たまたま見つけたこの三冊本を図書館から借りて読み批評理論の基礎と面白さを知った。基本的なところをまんべんなく押さえていて、しかも結構分かりやすいので良い入門書だ。特にイエール大学四天王の紹介がイイ…

I・A・リチャーズ「実践批評」

ニュークリティシズムの代表選手の一人リチャーズによる、実践的な批評をするための指南書。前半はリチャーズが学生に書かせた無記名の詩の批評であり、後半はその分析になっている。本書で追求されるニュークリティシズムの重要な思想が二つの誤謬説だ。 ひ…

前田愛「文学テクスト入門」

前田愛と聞いて誰が思い浮かぶかでお里が知れるでおなじみの人。 国文学者というバイアスもあってなのか、とても昔の人だと思いこんでいたので、デリダとかでてきて最初は驚いてしまった。本書は前田愛の残された文章をまとめた一冊だ。最初は固い内容なのか…

ジェラール・ジュネット「フィクションとディクション」

言わずと知れた文学理論の巨人、ジェラール・ジュネットの小冊。文学とはなにかという問題から真っ向から対決した、薄いながらもかなり濃い内容がつまった一冊だ。ジュネットは文学をフィクションとディクションという形に分類する。フィクション、つまり虚…

佐藤亜紀「小説のストラテジー」

博識な作家で知られる佐藤亜紀の小説論。早稲田大学の講義でつかったものをまとめたということで、しかも学者でなく作家が書いたものであることからしても口語調のライトなものを想像していたのだが、どちらかというと硬く重厚な内容にまず驚かされた。論理…

大橋洋一編「現代批評理論のすべて」

現代批評理論のエッセンスが詰め込まれたハンドブック。 テーマ編、人物編、用語編に分かれていて、それぞれが数ページ程度に凝縮されているので、それなりに知った人にとっては復習に持ってこい。またポケットリファレンスとしても便利な一冊だ。逆に言うと…

ヴォルフガング・イーザー「解釈の射程」

それまで作品やら作者を中心に考えられてきた文学批評の研究を、読者を中心とした立場から分析したイーザー。これまでは「行為としての読書」しか紹介されていなかったが、ここにきて2006年の著作が翻訳された。一読して、これは一体何についての本なのかわ…

デイヴィッド・ロッジ「小説の技巧」

文学理論の教授にして小説家でもあるデイヴィッド・ロッジによる小説技巧の理論書。批評理論の本というと面倒に見えるが、そんなことはなく、すんなりと読める本である。ロッジ本人の文章の上手さと訳者の巧みさが相まって、一種の洒脱なエッセイとして読む…

篠沢秀夫「文体学原理」

クイズダービーでおなじみ篠沢教授による理論研究書。 というかクイズダービーほとんど見てないので、個人的にはおなじみでも何でもなかったたりするのだが、文体学という言葉が気になって中古で購入していたもの。今は「文体学の基礎」という増補改訂版がで…

J・L・オースティン「言語と行為」

いわゆるスピーチアクト理論の始祖で、昨今でもよく眼にするパフォーマティヴとかコンスタティヴとかいう概念を提唱し分析したオースティンの名著である。ちゃんと勉強しようと思って読んだ。オースティンは、発言には事実確認的(コンスタティヴ)なものと…

大橋洋一「新文学入門」

もしもひとつだけ学問を選択せよと問いかけられたら、個人的には批評理論(文学理論)を選びたい。 それは「文学」を読むことだけに留まらず、「音楽」を読んだり、「TV」を読んだり、「他人」を読んだり、「世界」を読んだり、おおよそ人間が認識するもの…

ウィリアム・エンプソン「曖昧の七つの型」

20世紀初頭のイギリスの文学理論家ウィリアム・エンプソンの代表作。 エンプソンはI・A・リチャーズの弟子であり、いわゆるニュークリティシズムの流れに属する。 ニュークリティシズムというのは文学批評理論の鼻祖みたいな感じで、その後は他の批評に吸…