巽孝之編「この不思議な地球で」
不思議な世界観、奇妙な設定、センス・オブ・ワンダーを売りにするSF短編集。
物語の巧みさと言うよりは、世界設計の妙を楽しむ短編ばかりだ。
- ウィリアム・ギブスン「スキナーの部屋」
- ブルース・スターリング「われらが神経チェルノブイリ」
- パット・マーフィー「ロマンティック・ラヴ撲滅記」
- マシュー・ディケンズ「存在の大いなる連鎖」
- イアン・クリアーノ「秘儀」
- オースン・スコット・カード「消えた少年たち」
- F・M・バズビー「きみの話をしてくれないか」
- ストーム・コンスタンティン「無原罪」
- エリザベス・ハンド「アチュルの月に」
- J・G・バラード「火星からのメッセージ」
と筆者とタイトルだけでニヤニヤ出来る人なら買いだ。
不思議は不思議なのだが、何も起きないことが不思議なJ・G・バラード「火星からのメッセージ」が個人的には表題ともマッチしていて好みであった。生物都市のような始まり方をするのだが不気味な謎が最後まで響き、異様な読後感を与えてくれる。
この不思議な地球で―世紀末SF傑作選
posted with amazlet at 09.01.12