P・K・ディック「ヴァリス」

さまざまな作業を割り込ませてしまったため、随分読むのに時間がかかってしまった。
まあ、これもなんと表して良いものやら困ってしまう小説である。普通ならば粗筋が書かれている欄を読んでも何のことやらさっぱりだし、あとがきもわけがわからない。そもそもVALISとは……

VALIS――Vast Active Living Intelligence System(巨大にして能動的な生ける情報システム)、アメリカの映画より。自動的な事故追跡をする負のエントロピーの渦動が形成され、みずからの環境を漸進的に情報の配置に包摂かつ編入する傾向を持つ、現実場における摂動。擬似意識、目的、知性、成長、環動的首尾一貫性を特徴とする。

序盤は明快だったストーリーも、途中から神秘主義哲学の問答とVALISの探求へと姿を変えてゆき、次第に不確かなものになってゆく。そしてそれらが付録の秘密教典書と絡み合ってくるのである。
これはもはやSFと言うべき代物ではない。溢れんばかりの知識と神秘主義をぶちこんだサイバーパンクもどき、ドラッグをキメた黒死館とでも言えばいいだろうか。

そもそもVALISとは何なのか?宇宙そのもの?スピノザ的な神?インターネットの行き着く先?それとも……それとも……

余談

VALISの分かりやすい説明の例。ちなみにこれを見たから読んだというわけではなく、読んでいる間に偶然にアップされてビックリした。虚空蔵(アカシック・レコード)から電波を受信しているのかしらん。
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