蜂屋邦夫「老荘を読む」

西洋にかぶれてばかりいないで、多少は東洋思想もおさえておこうと思い、手に取った一冊。
まずその世界観を説明した後に、有名な部分を引用しながら解説するというスタイルで、一応、入門書という扱いだと思うんだけど、言葉の説明など省略されている部分もあり、まったくのドシロウトにはちょっと難しかった。
それでも老子荘子の雰囲気ぐらいはつかめた……と思う。

老子の語る言葉は極めて実用的で、スジが通った納得のいくものである。悪く言えばありきたりな感じだ。
荘子の方は寓話を駆使し、形而上学的であり、悪く言えば禅問答のようでわけがわからない。
というわけで個人的には荘子の方が性に合いそうであることがわかった。

特に荘子の「道」へ至る思想は興味深い。すべてを忘却し、ついには「道」を目指すことすら忘れるというもの。澁澤龍彦が語った、すべてを消し去ってしまってそれでもなお何かを語っているような文章を書きたい、というフレーズを思い起こさせた。

余談

持っているのは前のバージョンの装丁のもの。やっぱ今のは味気なくてつまらない。

余談2

本書200ページによると、
眠れないときは、足の裏に意識を集中すると眠れる、という説があるらしい。
自分は初耳だった。