ギャラリーTOM「澁澤龍彦の驚異の部屋」

本当は「秘密結社鷹の爪団 THE MOVIE」を見る予定だったんだけど、たまたま当日に巖谷國士のレクチャーをやるということを知ったのでギャラリーTOMへ。
こちらは「驚異の部屋」というコンセプトで、直接、澁澤龍彦に関係しているものだけでなく、間接的に影響を受けている作家の作品も展示してある。
池田龍雄、大月雄二郎、加納光於桑原弘明合田佐和子、アンティエ・グメルス、鈴木真、建石修志、谷川晃一、中西夏之四谷シモン、こちらも豪華なメンバーだ。とくに箱モノのオブジェが充実しているので、埼玉県立近代美術館の最後のピースを埋める形で見ることができる趣向になっている。

巖谷國士のレクチャーは展示物の紹介を澁澤龍彦の人生と絡めながら展開してゆくもので、大変に興味深いモノだった。
ただ聞いていて、澁澤龍彦をその時代性とリンクさせて語るのにはある種の危険性があるように感じられた。もちろん巖谷氏のような同時代人が語るのはそれほど問題はないんだけど、変な形で祭り上げられてしまうと、それこそ巖谷氏が危惧していたように、異端、アングラというジャンルに閉じこめられたままになってしまうような気がする。
ただの懐古趣味にならずに澁澤龍彦的が求めた普遍性みたいなものをもっと広めてゆく形で、澁澤龍彦再考みたいな流れが生まれるともっと建設的なんだけれども、なかなかそこまでの手腕を持った人が現れないのは残念なところだ。

さて、もうひとつギャラリーTOMでは重要な事件が起きた。
会場を巡っていたところここの似顔絵にそっくりな人がいたので、まさかと思い、しばらく観察していた。すると会場のテラスのベンチに座りソウヤーの「ゴールデン・フリース」を読み始めたのである。澁澤龍彦関連の展示に来ておきながら、ソウヤーを読む人も少ないだろうと思い、意を決して声をかけてみたらid:i-ku-yaさん本人だった。ホント、別人だったらどうしようと思って、手足がふるえちゃったよ。
お互いにブログはチェックしているのもあって、すぐに意気投合。講演後に喫茶店で色々な話をした。といっても、自分が非常に話したがり屋さんなので、一方的に話していたような気もするけど……
次は事前に打ち合わせておいて、ゆっくりと意見交換したいものである。
とりあえず西島大介には感謝するしかない。