歌野晶午「女王様と私」

44歳のデブでオタクでニートの主人公が、世界で一番カワイイ妹と大冒険だぉ。

とにかく妹のしゃべり方がうざくて死にそうになるけど、文章としては非常に読みやすい。ちなみに次にうざかったのは☆★☆★☆だろうか。目がチカチカするよ。あと中学生のメールは心の目で読め!

この本、どこまで書いたらネタバレなのかさっぱりわからない。特に最初の100ページまでに繰り出されるジャブについて言及せずにストーリーに言及するのは不可能。とにかく説明に困る本である。
ちゃんと殺人事件もおきるし、それなりに合理的な解決もされる。けれども途中からのぶっ飛びっぷりに、ついてゆくのがやっと、というのが正直な感想だ。個人的には最初の100ページくらいまでのツンツンしてるあたりと、殺人が起きて、今後どうなる!?という期待感までが一番楽しかった。

趣向としては「世界の終わり、あるいは始まり」とあまり変わらない。逆に「世界の終わり、あるいは始まり」が書かれていなかったならば、もっと素直に楽しめただろう。それほど多作ではない歌野晶午がなぜこれを書いたのかというのも、ちょっとわからない。なので、これまで書けなかったオタクネタが今なら書けるぜ、と溜まっていた鬱憤を発散した!という解釈をすることにした。

色々とルールを設定すれば一応まっとうなミステリとして読めないことはないけど、フェアさを要求するのは酷というもの。とってもアレなミステリだと思って読みましょう。
なかには読んで腹立たしくなる人もいるかもしれないけど、そういう人は綺麗な装丁を見てなごんでください。

余談

実は一番気になるのが、歌野晶午がこれを素で書いてるのか、それとも丹念に調べた上で書いているのかってことだ。実はスペル星人とか素で出る人なのかな?