ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ「赤い右手」
これはひどい!と思わず叫びたくなる名作。いや迷作。
その半分どころか99%がミスリードで構成されているという優しさのカケラもない作品。バファリンを飲ませたい。
ここまで読者の期待を無惨にも裏切る小説があっただろうか、恐らくすれっからしの読者ほど騙されるだろう。
要するに一種のアレ系*1で、アガサ・クリスティの某作品を思わせる文体、綱渡り的な偶然、すべての要素が読者を惑わすように書かれている。
なぜ、どのように騙されるか、その罠の巡らしっぷりは巻末解説で詳細に分析されているので、本編読了後そちらのほうもしっかり読んでいただきたい。
欺かれるところにこそ快楽があるのだという、マゾミステリ読者には超オススメ。
逆に、フェアであり論理的に解けてこそ素晴らしいという、パズラー原理主義なサドミステリ読者にはまったくオススメできない。
これはひどい! だが、そこがいい!
余談
バナナの皮で足を滑らすというシーンを初めて読んだよ。あれはマリオカートの中でしか起きない現象だと思ってた。
*1:アレ系と書いている時点でアレ系ということがばれてしまう問題