乙一「銃とチョコレート」

最近、なりを潜めていた乙一、っていうかジョジョのノベライズはどうなってるの?と問いつめたいところだが、期待しているので、迷わず購入。

久しぶりだけあって、力がこもっている。子供向けといってもまったく手抜かりのない作りだ。いや、世界観や伏線の作り込みはこれまでのなかで一番かもしれない。平田秀一の絵も見事にマッチしている。

うたい文句には「名探偵ロイズはぼくらのヒーロー!」「はたして名探偵ロイズは怪盗ゴディバをつかまえることができるのか!?」などと書いてある。しかし、みなさん、うすうす気づいているとは思うけども、全然そんな話じゃありません!

淡泊な文体を重ねていって暗黒に仕立て上げてゆくという筆致はいつも通り。乙一のいつもの感じにはまっている人は、絶対に読んでおいた方がよい力作である。

とりあえず読み終わるとドゥバイヨルのチョコレートが食べてみたくなる。

余談

一応、子供向けなので、ひらいてある漢字が多い。ただ本書の場合、難しい漢字がそのままになってるくせに、明らかに簡単な漢字がひらいてあったり、よくわからない。
後書きを見ても「わたし」だったり「私」だったり、どういうポリシーなんだろうか。