ミヒャエル・ハネケ「隠された記憶」

送りつけられてきたのは、家の前を録画したビデオだった。
インテリなTVキャスター一家がストーカーに狙われている。ビデオだけでなく、不気味な絵が家や会社に送りつけられてくる。それは主人公の過去に関わりがあるものだった……
果たして犯人の正体にたどり着くことができるのか? そして犯人の真の目的は何なのか?

カンヌ映画祭でも3部門で賞をとったミヒャエル・ハネケの最新作。
いわゆるショックシーン、それも壮絶なのが一ヶ所あって、そういうのが苦手な人は絶対に見てはいけない作品だ。しかし基本的にはクールに淡々と描かれていて、衝撃のラストカットというのも非常にあっさりとしている。このあっさり感は黒沢清の「CURE」のラストカットに近い。そのため、ものすごいどんでんかえしを期待すると、ちょっとがっかりするだろう。

この作品は単純にストーリーを楽しむという映画ではない。その裏の心の動きや、それぞれの登場人物が抱えている罪悪感なんかを読み取ってゆく、考えさせられる映画だ。むしろ見終わったあとが本番なのかもしれない。