東京都美術館「プラド美術館展」

ティツィアーノエル・グレコルーベンス、ベラスケス、ムリーリョ、ゴヤ……と豪華な布陣でお出迎え。
お目当てはやっぱりベラスケスです。荒木飛呂彦がもっとも尊敬する画家、ベラスケスです。

洋画のメッカとでもいうべきスペインの絵画が山のように見られるという、夢のような展覧会。
で、やはりベラスケスの本物は凄かった。
近くで見るとベラスケスの色づかいと筆さばきは他の画家とは全然違う。例えば他の画家は輪郭をぼやかしていたりするんだけど、ベラスケスはスパッと描いている。そして細部はうまくアンチエイリアシング処理している。ベラスケスの髪の毛のタッチを見るだけでも感涙ものである。

他に、気になったのを幾つか……
メレンデスの「風景のなかの西瓜と林檎」。昔の林檎は今のと全然違う。きっと食べたらすっぱいんだろう。西瓜は色は今と同じなんだけど、皮が厚い。品種改良って凄いなとつくづく感心した。
ティツィアーノは構図としては面白いけど、絵としてはルーベンスの方が上かなという印象。
ゴヤは一番小さな絵の「魔女の飛翔」が素晴らしい。黒い絵が好きな人にはたまらないだろう。

またボデゴンと呼ばれる静物画が何点かある。まるで高解像度の写真か、精巧なCGのようなできばえである。ただ、それは現代人が強力な光源を知っているからで、当時はこんなドラマティックに仕立てるスポットライトはなかったはずだ。だから実際には絵に描かれたようには見えなかったはずである。
それをあのように描いてしまう、画家達の美の追究、想像力には驚くべき物があると思った。

休日に行くなら、午後はかなり混んでいるので、午前中の方が良いでしょう。