マイケル・マーシャル・スミス「みんな行ってしまう」

SFホラー短編集。
解説で指摘されているように前半が冗長、後半は急展開というパターンが多く、入り込むのにちょっと苦労するかも知れない。
ホラーっぽい感じの作品が多い中、「ダイエット地獄」みたいな軽いノリも面白い。タイムマシンをたったの3行で作ってるし。しかも部品を「トイザらス」から買ってきてるし。

中でも特筆すべきは、やはり「ワンダー・ワールドの驚異」。肥大化したアミューズメントパークに養老院がくっついているという設定で、ディズニーから訴えられるんじゃないかとハラハラさせられるほど悪意に満ちた作品だ。
諸星大二郎の「子供の王国」なんかを連想させられる。

ただ全体的にちょっと薄味なのが残念。自分がキワモノ好きすぎるのかもしれないが……

みんな行ってしまう
みんな行ってしまう
posted with amazlet on 06.03.17
マイケル・マーシャル・スミス 嶋田洋一
東京創元社 (2005/09/22)
ISBN:448872101X

余談

「ワンダー・ワールドの驚異」で普通にドクターペッパーを飲むシーンが出てくる。やっぱ英米じゃスタンダードなのかな。日本じゃ「毒ペ」とか言われてるのに。