飛浩隆「象られた力」

Amazonのおすすめ商品でずっと1位だったので、いっちょだまされてみるかと購入。確かに、色々と賞を取っているのはだてじゃなかった。
ただ面白いだとかいうより、日本にもこういう書き手がいたのかと感心した。いわゆるイーガンのように、非常に抽象的なレベルのできごとが一気に具体的なレベルと融合するような、あのなんとも言えない感覚が味わえる。
そのために、軽く読み流すというような作品でもないし、内容を説明するのも難しい。

冷徹な文体であるが、そのぶん論理が冴え渡っているし、言葉の使い方、造語のセンスもたまらない。
非常に今っぽいというか、新しいセンスを感じさせるのだが、結構昔の作品なんですよね。凄いなあ。

「グラン・ヴァカンス」も読みたいが、完結してないのに手を出すのはちょっと嫌。

惜しい

表題作「象られた力」で斎(いつき)と環(たまき)の兄妹が登場する。あと藤がいれば精神科医ができたのに。