演劇実験室◎万有引力「アヴェロンの野生児」
ショーペンハウアー的幻想音楽魔劇
アヴェロンの野生児
−俳優マクベスと野生児ヴィクトールの内在生成学−
作・演出・音楽・美術:J・A・シーザー
万有引力久しぶりの本公演ということでワクワクしながら千秋楽を観劇。
実は万有の演劇において期待してるのは音楽と演出で、脚本はどうでもいいかなーと思ってたのだが、今回は違った。基調低音となっているのはレヴィ=ストロースの「野生の思考」で、面白いという以上に重要な問題を孕んでいると思った。理解した範囲でコンパクトにまとめてみると……
タブラ・ラサとしての野生児が言語を獲得し、俳優マクベスになる過程において、「野生の思考」がそこにはある。そして自然言語を操り、世界を劇場というメタファーで捕らえることのできる人間=俳優はみんなシャルラタン(道化、香具師)なんだ!
という感じになるだろうか。
ここ最近、道化論と両義性と自然言語のつながりを考えていたところなので、まさに直撃!
といいつつ、万有の演劇を言語化することはほとんど無意味だ。それこそ劇場でしか味わえないクオリアを体験してなんぼである。あのゾクゾクさせられる強烈なクオリアを求めて、次も観劇することだろう。麻薬中毒患者のように……
以下、曲リスト。
- アヴェロン野生児誕生宇宙
- 子供の歌
- 演劇起源アラベスク
- 人間の魂は宇宙経過の舞台である
- 捨てろ!ドゥ・イッツ!一人で!
- 世界はシャルラタンの山
- スピラ・ミラビリス劇場
- 天使創造すなわち光
- 目覚めよ内在わたし
演出面では、巨大反射板を皆でみつめて天の声?を聞くところと、天使創造すなわち光 Lightning Ver. がすばらしくて、これだけでも観劇したかいがあった。
レヴィ=ストロースというと、皆「悲しき熱帯」をあげるけど、自分は断然こっち。