山口昌男「アフリカの神話的世界」
旅行のお供2。「道化の民俗学」の導入として手に取った。
山口昌男といえば両義性、そしてその象徴としてのトリックスターだ。本書ではアフリカの神話におけるトリックスターを1章の概論で見通した後、
- 伝播論
- 形態論
- 構造論
- 象徴論
- 始源論
- 戦略論
6つの方法論を使って読み解くという趣向になっている。とはいえレヴィ=ストロースによる構造主義分析の色合いが濃い。
レヴィ=ストロースと山口昌男は多くの共通点がある。もともと文化人類学を志していたわけではないということ、フィールドワークを積極的に行うこと、自分の専門外についても博識であるということなどだ。
こういう本を読むと、当時の文化人類学がただ未開の文化を採取するという目的で行われたものではなく、人類そのものを知る、ということを目指していたことがよくわかる。たから文化人類学に実際興味を持っていない人でも興味深く読めるだろう。
構造主義的分析も今やもてはやされることはないが、さまざまな学問をより一般的な次元へ高めるためのよいツールであるとは思う。