幻想の中国(Ali Project「Dilettante」)

待ちに待ったAli Projectの新譜Dilettanteがようやく届く。
とりあえずゆっくり聞いているところですが、たまりません。

  1. 愛と誠
  2. 人生美味礼讃
  3. 肉体の悪魔
  4. 緋紅的牡丹
  5. ディレッタントの秘かな愉しみ
  6. 昭和恋々幻燈館
  7. 密猟区
  8. 北京LOVERS
  9. 鎮魂頌
  10. 柔らかな肌

テーマは18世紀に西洋で流行したというシノワズリー(支那趣味)。
といっても中国ブームというよりは、いい加減な情報から構築された、ほとんど架空の国、支那を憧憬したものだったらしい。
幻燈で映し出されたような歪で甘美な世界観。

1曲目2曲目と聴きながらブックレットをめくっていて、ふとシャラワジという言葉を思い出した。
シャラワジとはシノワズリーを支える美学のひとつで「均衡、シンメトリー、統一」からの逸脱*1を意味する言葉のこと。中国の庭園や建築、風景が西洋人の眼にはそういう風に見えたようだ。
グロテスクとかアラベスクという言葉にもどこか通底する観念とでも言えるだろうか。

というわけでDilettanteは、とってもシャラワジなアルバムなのでした。*2

*1:高山宏「ふたつの世紀末」ISBN:479175669X

*2:正直、プログレッシブでもいいような気がするけども