ジョン・スラデック「遊星よりの昆虫軍X 」

原題は「BUGS」、ようするにプログラムのバグのことである。
純文学作家の主人公が、人違い&勘違いでコンピュータ会社に就職してしまう。技術的な会話は適当に受け流してはみたものの、翌日からAIロボットのプログラムと格闘するハメに。という、どたばたコメディSF。

いわゆる文学的な専門用語と、コンピュータ技術の専門用語が同レベルで飛び出してくる奇妙奇天烈さが、スラデックの持ち味のようで、コンピュータ言語のPASCALと哲学者のパスカルを混同してみたりと、小ネタが満載な小説である。主人公がコンピュータプログラムを前衛詩として無理矢理解釈しようと試みるところなんか、もう最高だ。
とまあ笑ってばかりもいられない。その上、サブカルチャネタとも思えるものが容赦なく繰り出される始末で、もう手に負えないのだ。このへんが笑いどころ何だろうなというところはわかるものの、元ネタがわからないのが、どうにも悔しい。
紹介文には抱腹絶倒とあるんだけど、本書を読んで、爆笑につぐ爆笑を繰り出せた読者はかなりの教養&無駄知識の持ち主だと言えるだろう。同時に翻訳した柳下氏にも頭が下がる。
自分も、これを読んで爆笑できるような人間に早くなりたいものである。

余談

作中にC言語っぽいコードがでてくるんだけど、サブルーチンを呼び出しすぎていて普通に意味が分からない。もうちょっと可読性の高いコードを書こうよ。