ハーヴェイ・ジェイコブズ他「グラックの卵」
ユーモア・ナンセンスSFのアンソロジー。9篇を収録している。
SFもここまでやっちゃうと、もうSFじゃないんだけど、それでもSFと言っちゃえるところが懐が深いところだろう。
とりあえず気になった作品だけピックアップ。
ウィリアム・テン「モーニエル・マサウェイの発見」
いわゆるタイムマシンSFだが、その実、辛辣な美術批評パロディでもある。批評が好きな人は、なんとも言えない苦笑いができる一編。
ウィル・スタントン「ガムドロップ・キング」
短いながらも俊逸。子供が主人公だけあって平易な文体なのにもかかわらず高度な内容。読者に考える余地を残すラストも素晴らしい。
ジョン・スラデック「マスタースンと社員たち」
前からスラデックは気になってたんだけど、こんな作品を書くとは。これはヤバイ。
ホワイトカラーの事務仕事をシュルレアリスムと融合した中篇。
最初は「不思議の国のアリス」だと思ったが、これまで読んだので一番近いのはフラン・オブライエン「第三の警官」だ。SFというよりポストモダン小説。
余談
というかフラン・オブライエン「第三の警官」に異常な高値がついてるよ。
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