ジャック・リッチー「クライム・マシン」
短いことは良いことだ、を標榜するジャック・リッチーの短編集。
あとがきによると、ジャック・リッチーはエドマンド・ウィルソンを気取って、ミステリをまったく読まなかったそうだ。だけど軍隊生活中、軍のライブラリーに読む本がなくなってしまって、とうとうミステリを手に取ってしまった。そうしたら中毒になってしまって、ついには自ら書くようになってしまったというわけ。
そのおかげで、こんな面白い小説が読めるんだから、つくづく運命というのは不思議だ。
そういう意味ではエドマンド・ウィルソンは潜在的ミステリ作家の芽を潰していたりして。
で、本書に戻ると、やはり一番面白いのは表題作の「クライム・マシン」。超常現象を扱っておきながら、非常に論理的な決着をつけるのが、とにかく巧い。またキャラクタ造形が面白くて、カーデュラ探偵シリーズはもっともっと読みたくなる。
ただし短編なので「ヤラレタ!」というよりは「なるほどね」という感じ。ユーモアセンスも抜群なので、軽く読みたいときにもってこいだ。
余談
なんだか最近、短編ばかり読んでいるので、そろそろ長編に挑みたいと思います。