「チャールズ・バベッジ―コンピュータ時代の開拓者」

言わずと知れたコンピュータの先駆者バベッジの伝記と実績を簡単にまとめた本。
読み所は、バベッジの開発していた「階差機関」「解析機関」の解説の部分である。どちらも非常にわかりやすく説明がされており、中学生レベルの数学がわかってれば充分理解できるだろう。
まず「階差機関」であるが、こちらはコンピュータというよりは手回し計算機に近い。ルネサンス期にさまざまなに作られた計算機の集大成というものであった。
それだけでも充分凄いのだが、「解析機関」は現代のコンピュータの本質に迫っていた。入力装置、メモリ、演算装置、出力装置を備えていたのである。ただし、その機構を機械的な部品に頼らざるを得なかったところがバベッジの限界であった。それを作り上げることは叶わなかった。
そこから約一世紀。数学による理論的裏付けと、電子回路の発達によって、ようやくバベッジの夢は実現することになる。そこから今に至るまで、コンピュータの本質はまったく変わっていない。

すぐ読めるのも、このシリーズのいいところ。薄いながらもエッセンスとしてはよくできている。