川又千秋「幻詩狩り」

一篇の詩が世界を変革する。シュルレアリスム文学をネタに使った言語SF。ハードSF的なガジェットはほとんどないので、SFというよりはある種のファンタジーといったほうが的確だろう。

シュルレアリスム運動に関わった人たちの不可解な死の謎をからめて物語は展開してゆく。
ブルトンデュシャンアルトーといった巨匠たちが、いかにもそれっぽい役柄で登場してくるのも見所。逆にシュルレアリスムの基礎知識が多少ないと、いまいちノリきれないかもしれない。
現実に起きたシュルレアリスト達の不可解な死を、ドゥバドという奇妙な言葉を背景に、一本の線で結んでゆくさまは読み進めるほどにワクワクさせられる。

シュルレアリスト達が大好きな、そこのあなた、読むだけで呟くだけで世界が変わる、そんな詩を読んでみたいとは思いませんか? ドゥバド!