ブルーノ・ムナーリ「ファンタジア」

デザイナーであり作家でもある、多彩な才能をもったムナーリの想像力と創造力に関する小冊。ヴィジュアルが多いため、文章が少ないながらも、そこで語られる領域は大きな拡がりを持っている。

想像力の秘密をアルス・コンビナトリアで語るという感じで、ヴィジュアル版の「知の編集工学」という感じだ。ものごとを単純化していくのだが、そこに機能美や本質的な美を見出してゆくというところは、佐藤雅彦の仕事に近いかもしれない。発想法と子供への教育法が同一に語られるあたりは、まさしく、と言ったところだ。
何かと何かがつながってゆく、子供の頃に楽しんだ純粋な美の追究がここにはある。

親日派らしく、折り紙に関する言及があるのも嬉しい。こういう独創的な人が、別の視線で見たときに浮かび上がる日本の文化というのは、また新しい発見がある。
パラパラながめるだけでもインスピレーションが湧いてくる、そんな本である。