「第二回 monado nite 後半」
0:30〜3:00位までの流れです。
- 荒俣宏「理科系の文学誌」
理科系としてのロマン派論など、恐らく荒俣宏の著作の中でも最も重要で完成度の高い一冊。
- 荒俣宏「別世界通信」
これは前回に探し出せなかった本。
読書案内としては最適です。
- 荒俣宏「想像力博物館」
これは荒俣宏つながりで出した、ただの本自慢。想像力博物館の学芸部長は高山宏である。
想像力博物館
- 松岡正剛「全宇宙誌」
本当に凄い本というつながりで紹介。
残念ながら持ってはいない。ただし読んだことはある。
近くの図書館にこの本がある人は、絶対に一度見ておくべき。
全宇宙誌 (1979年)
- バーバラ・スタフォード「ボディ・クリティシズム」
本自慢つながりで、スタフォードやキットラーに会ったと言うことを自慢。そのときの模様はこちら。
→「ユビキタス・メディア: アジアからのパラダイム創成」基調講演 - モナドの方へ
ちなみに本の内容についてはちょっと触れた程度。
- エドガー・アラン・ポオ「詩と詩論」
ここで本流に戻って、作詩術について論じる。
この本には大傑作である「大鴉」と、それを書いた方法を示した「構成の原理」が載っている。
「大鴉」は精密な分析の元に論理的に作られたってホント!?
ポオ詩と詩論 (創元推理文庫 522-5)
- ジョン・ノイバウアー「アルス・コンビナトリア」
結合術(アルス・コンビナトリア)としての作詩術(アルス・ポエティカ)。
組み合わせによって文学、あるいは知識が作られてゆくことを論議した本。ここでマラルメの世界書物などを紹介しつつ、話はマラルメの詩へと流れてゆく。
- ギィ・ミショー「ステファヌ・マラルメ」
マラルメというかなり変わった詩人の紹介する。
ここで「不思議の国のアリス」を翻訳した、と説明してしまったんだけど、ポオの間違いでした。まあ論理的な作家という意味から言えば、かなり近いので許して。
ステファヌ・マラルメ
- ステファヌ・マラルメ「骰子一擲」
ある意味、ハイパーテクスト的なスタイルの詩。偶然と必然、不意に意味がぶつかりあう不思議な空間をもった詩である。
→http://www.momoti.com/saikoro.htm
骰子一擲
アルス・コンビナトリアから科学の話に流れる。近代科学ってのは結局は理神論のことだから、科学主義を理解するためにはやはりユダヤ・キリスト教の流れを押さえておかないとダメ。
そんなこと言い出すと大変なんだけど、たとえばゴシック建築を理解するためにはスコラ哲学を理解しないといけない、みたいな話もある。
- 種村季弘「薔薇十字の魔法」
ルネサンス期の科学と魔術の関係性も大変に重要。
たとえば薔薇十字団やタロットなど。タロットは順列組み合わせによって世界を再構築する術だった?
この系列で言うなら、フランセス・イエイツを話をしなくちゃならなかったんだけど、用意してなかった。
薔薇十字の魔法
- イタロ・カルヴィーノ「宿命の交わる城」
こちらはタロットの順列組み合わせを元に小説を構築しているという本。凄いのはそれがただの小説生成術になっているだけではなく、その生成過程までもが描かれているということ。
この方法論を説明してるのが大塚英志の「物語の体操」だったりするんだけど、カルヴィーノがメタ的に方法論を小説に繰り込むことによって、そこから派生するすべての物語を書き得てしまったともいえる。
パノフスキーからのつながり。西洋絵画を読み解くためにはイコノロジーが欠かせない。
- ポール・バロルスキー「とめどなく笑う」
イコノロジーの説明のため表紙のブロンズィーノ「愛のアレゴリー」を見せただけ。内容には言及せず。
- マリオ・プラーツ「ムネモシュネ」
イコノロジーの絵を読むということはなんなのか?そこにおいて文学との関係を探ったのがこの本。
詩は読む絵、絵は見る詩、というエクフラシスの話や、時代における絵画と文学の相関関係があったんだということを説明。
この本はアドリブで取り出したんだけど、ムネモシュネは記憶の女神ということでテーマと見事一致した。
- Shing02「400」
ここで無理矢理Shing02を紹介した。
「遊撃のリテラチュール」つまり「遊撃の文学」はこのアルバムの歌詞から借りてきた言葉。
今回の流れで言えば、定型詩としてのラップを真面目に語る時が来ている!
是非、一度リリックを見てもらいたい。
→shing02*net japanese lyrics
- アーサー・O・ラブジョイ「存在の大いなる連鎖」
ヴァールブルグ派と共に重要なのが、観念史派(ヒストリー・オブ・アイデアズ)。
その代表作が本書。
この「存在の大いなる連鎖」という概念は現代の欧米文化にも圧倒的影響を与えているので、理解していないと本当の西洋は見えてこない。
存在の大いなる連鎖
- ジョルジュ・プーレ「円環の変貌」
観念的変化のパラダイムを探ってゆくという話としてはこちらも面白い。
円環の変貌 上 (1)
円環の変貌 下
- アルベール・ベガン「ロマン的魂と夢」
プーレと同時期の批評家として、ベガンのロマン派研究も見逃せない。
アルベール・ベガン著作集 第1巻 ロマン的魂と夢
- ミルチャ・エリアーデ「悪魔と両性具有」
- マリオ・プラーツ「肉体と死と悪魔」
「理科系の文学誌」を出したりとロマン派の話をいくつかしたので、この本を詳しく紹介してしまいたくなった。
以下の本は章の内容を説明する上で使った本。
肉体と死と悪魔―ロマンティック・アゴニー
「肉体と死と悪魔」の「サタンの変貌」の解説。
ここでは失楽園においてサタンがいかに魅力的に書かれたのかを学園モノの比喩で説明した。
神を理事長、三大天使達を風紀委員、サタンを番長、アダムとイヴをいたいけな新入生、という構図で読むと結構わかりやすい。そりゃ、くそ真面目な風紀委員より、悪っぽい番長に感情移入しちゃうよね。
- マッシュ・グレゴリー・ルイス「マンク」
「肉体と死と悪魔」の「宿命の女」「つれなき美女」の説明に無駄に力が入る(笑)
文学史上最強の萌えキャラ、マチルダたんが登場するのはマンクだけ!
などと煽らずとも、これまで読んできた小説のなかでも五本の指に入る面白い小説。
これだけは覚えて帰ってね!と念を押してしまった。
マンク
そういえば「赤と黒」っのラストって、まさかのNice boat.なんだよな。
- ダンテ「神曲」
国民文学として読まれるダンテ、ラブレー、シェイクスピアという作家は、それぞれの国の国語の成り立ちと大いに関係している。たとえば近代日本語の確立という上で夏目漱石はやはり欠かすことができないだろう。
というわけでメディアとしての文学という文脈が成立するのだ、ということでまとめを行った。