国立西洋美術館「キアロスクーロ」「ローマの景観」

行くか行かぬか逡巡しつつ国立西洋美術館のページを見ていたら、なんとピラネージの「ローマ景観」が展示されてるじゃありませんか。こりゃ這ってでも行かなくちゃということで、むしろキアロスクーロはおまけ程度で観覧した。

で、キアロスクーロ。木版多色刷りで陰影(キアロスクーロ)を表現する手法なのだが、やっぱり木版画は微妙だ。マニエリスム期の版画はなかなかよかったものの、わざわざ本物を見なくても、という感じ。
パルミジャニーノなど有名な画家が、自分の原図をもとに版画家に掘らせた物が数点展示されている。木版画はどうしても緻密にはならないから、複製が容易であるという技術的理由から好まれたんじゃないだろうか、などと考えたりした。

次、ピラネージ。まずはローマの俯瞰図がお出迎え、巨大な恐ろしく細かい線が無数に走った巨大なエッチングだ。よくできたCGを見ているような快感が走る。
ピラネージの全版画集は持っているのだが、本物の微妙な線は、とてもじゃないが今の印刷技術じゃ再現できない。
「ローマの景観」というのは観光客のおみやげ用に刷られたものということだが、緻密さと迫力は、もしかしたら本物の景観をも凌駕するのではないかと思われるほどだ。

あまりにもピラネージが衝撃的すぎて、キアロスクーロが吹っ飛んでしまいました。